【コレ読んで!】ビボう六

2024年3月29日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

ビボう六
佐藤ゆき乃 ちいさいミシマ社(1980円)

京都の夜道を照らすのは怪物の淡い恋心

舞台は「夜の京都」。怪物のゴンスはある日、記憶を無くした女性・小日向さんと出会います。ふたりで語り合いながら静かな夜の街を歩いていくうちに、ゴンスは恋に落ち、だんだん彼女に引かれていきました。

交互に描かれる、小日向さんの過去とゴンスの恋。時に美しく時にほろ苦いふたりの物語は、京都の闇夜を温かく溶かしていくかのようです。

本のタイトルにもなっている「ビボう六」とは、ゴンスにとって生きていくうえで忘れてはならない心の備忘録のこと。この物語を読んでいくうちにきっと、皆さんの心にも「ビボう六」が生まれてくることでしょう。

弱った心に寄り添うような優しい物語です。

■本の紹介者
大垣書店Kotochika 御池店
今仁真智子さん

https://www.books-ogaki.co.jp/

(2024年3月30日号より)