【コレ読んで!】君の話

2022年3月4日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

君の話
三秋縋 ハヤカワ文庫JA(792円) 

架空の記憶を持つ青年と、実在しないはずの幼なじみ

自分にとって、都合が良い記憶も悪い記憶も、思うように操作可能な薬が存在する時代。ある記憶だけを削除して、別の記憶〝義憶〟を植えつけることもできる。そんな世界を舞台にした恋の物語です。

架空の青春時代の記憶を植えつけられた孤独な青年・天谷千尋。日常生活のなかで、何かがトリガーになり、義憶の時間を泳ぎ、夏凪灯花(なつなぎとうか)という幼なじみと出会う。千尋の義憶のなかに生きる灯花は、実在しない人間のはずだったが―。

物語の後半は灯花視点で進みます。彼女を取り巻く世界に、果たして千尋は存在しているのか。最後の一文にほろっと涙します。

■本の紹介者
大垣書店イオン洛南店
小林素紀さん
 
https://www.books-ogaki.co.jp/

(2022年3月5日号より)