「パリッとした服が似合うよね」「あなたがいると、なごやかな雰囲気になるわ」など、ほめられて自信がわいた経験はありませんか? 反対に、ほめたつもりで言った言葉が、うまく伝わらなかったことは…?
編集部では“ほめ言葉”に関するアンケートを実施。読者からの声に、2人の“ご意見番”がアドバイスをくれました。
話を聞いたのは…
仕事で忙しい夫をねぎらいたくて「毎日大変だけど、頑張りすぎないでね」と言ったら、「頑張らないと生活できないでしょ!」と、怒られてしまいました。こういうとき、何て言えばよかったの…?(上京区・たとみ) |
決め手は“I(アイ)メッセージ”
中尾さん
感謝やいたわりの気持ちが、うまく伝わらなかったようですね。「頑張りすぎないでね」という言い方に、上から評価しているようなニュアンスがあるせいでしょうか。夫の側にも、この時は心の余裕がなかったのかもしれません。
ほめ言葉には2種類あると思います。一つは「評価」を伝えるもの。「“あなたは”○○で偉いね」という、「あなた」が主語の「YOUメッセージ」。もう一つは「感謝・感動」や、助かっている「事実」を伝えるもの。「“私は”あなたが○○してくれてうれしい」「“私は”あなたの○○なところがすてきだと思う」「“私は”あなたが○○してくれるおかげで○○できる」といった「Iメッセージ」です。
私は、ほめ言葉は「Iメッセージ」で伝えるほうがいいと思います。「いつもありがとう(“私は”感謝している)」「最近帰りが遅いから、心配やねん(“私は”心配している)。体、大丈夫?」「“私は”あなたが毎日働いているおかげで安心して生活できるの」とかね。こうした言葉の積み重ねが見えない信頼関係を築き、“幸福の貯金”になるのだと思います。
さりげなさが大切
上林さん
こういうとき、私はほめて励ましません。その人の仕事のことはわからないし、気軽にほめられない気がして…。
常連のお客さまがいつもより無口で、「仕事で大変なのかな?」というとき、私はこちらからは何も聞きません。でも、全く違う話題を振ったりしながら、相手の様子は気にかけています。そうすると、自分からぽつぽつと悩みを話されることが多いですね。そっと気にかけておくことが、ほめる以上に支えになることもあるのでは?
3歳下の弟の面倒をよく見てくれる5歳の娘。ほめてあげたいなぁと思いつつ、自分に性格が似ている分、娘をついしかってしまいます(伏見区・ぞうさん) |
まず自分の長所を見て
中尾さん
この人は、きっと自分に厳しいお母さんなんでしょうね。まずは、意識的に自分の長所を探してほしいと思います。
子どもにとって、お父さんやお母さんは「世間の代表」。親に認めてもらえないと、子どもは世の中の人みんなから認めてもらえていないような気持ちになり、自信を失います。だからこの場合、「○○ちゃん(娘)が□□くん(弟)を遊んでくれているから、お母さん大助かりやわ」など、Iメッセージで「あなたは役に立つ存在だよ」と伝えてあげて。
「いい子に育ってほしいと思うあまり、ついわが子をしかってばかり」という気持ちもわかりますが、そんなときは「自分が思う“いい子”って、どんな子?」ということを、あらためて問い直してみましょう。そうでないと、人間は欠けているところに目がいくものなので、気がつけばわが子に向かって否定的なことばかり言うようになってしまいます。
間接的にほめるのも手
上林さん
自分の子をほめるのって難しいですよね。照れもあって「あんた頭はよくないけど、優しいな」みたいな言い方しかできない(笑)。でも、いいと思ったところは、ちゃんとほめますよ。「近所の人が“あの子はよくあいさつしてくれてえらい”って言うてはったで」とか、間接的な表現を使うのもいいと思います。
人をほめるのは苦手。心にもないほめ言葉を言うと、わざとらしくなってしまいそうで…。おべんちゃらを言う必要はないですよね?(下京区・Kほか) |
ハードルを下げよう
中尾さん
まず、ここで言う「おべんちゃら」って何だろう? 自分が思っている「100%の理想」があるとして、それに達していないものをほめると「おべんちゃら」になるのかな? もしそうなら、ちょっとハードルが高すぎる気もします。
目線を変えて、小さなことも喜んだりほめたりできるほうが、毎日が楽しいのでは?
ほかの人と違う点に注目
上林さん
私もお世辞は言いません。でも、「ほかの人と違うその人の良さ」を探して言うようには心がけています。店の女の子に「○○ちゃんは手のしぐさがきれいやな」とか。
あと、「姿勢がよくなった」など、以前に比べて成長した点もほめます。「いつも見ていますよ」ということが伝わるといいなと思って。