外は寒いけどちょっとお散歩したくなって、帰省中だった娘を誘い近所の「双ヶ丘(ならびがおか)」まで行ってきました。
双ヶ丘は右京区御室にある丘陵地で、名前の通り小さな丘が3つ並んでいます。3つの丘はつながっているので、細長い一つの山みたいな姿をしています。標高は116メートルほど。丘に登る道や、ふもとの遊歩道、広場などがきちんと整備されていて、緑もとっても豊か。丘陵地全体が大きな自然公園という感じです。
我が家からも近く、子どもたちが小さいころはよく訪れた大好きな場所です。
双ヶ丘エリアには入り口がいくつかありますが、私たちがよく利用するのは、国道162号線と新丸太町通りの交差点からすぐ北にある入り口。「名勝 雙ヶ岡」と刻まれたうやうやしい石碑が目印です。
石碑のそばには頂上へ向かう石段もありますが、いつもここは登らずに遊歩道を進みます。
双ヶ丘エリアに足を踏み入れた途端、そこはもう森!さっきまで車がぶんぶん走る国道を歩いていたとは思えないほど木々に囲まれた世界が広がります。
娘と一緒に双ヶ丘を散歩するなんて、十数年ぶり。軽く上り坂になった小道をのんびり歩きながらいっぱいおしゃべりしました。
今はもういなくなりましたが、20年くらい前までは双ヶ丘にも鹿が住んでいました。私たちもこの道で山から降りて来た鹿さんと遭遇したこともあるんですよ。
一の丘、二の丘、三の丘、と呼ばれる三つの丘は、いろんなルートで散策できます。丘に登らずにふもとを散歩することもできますが、この日は久々に登ってみることにしました。
よし、ここから登ろう!いくつかある登り口の中から二の丘と三の丘の間へ向かうコースを選びました。
下から見上げるとなかなか険しそうに見えます。「お母さん、だいじょうぶう?」と初老の私を気遣う娘…でも、子どもたちがずいぶん小さい頃でも登れたんだから、今の私でも行けるだろう、と進んでいきました。
急な坂は少しだけ。運動不足の体にちょうど良いくらいの勾配の道を上って、ほどなく頂上近くの開けた場所に着きました。ああ、いい気持ち!登ってよかった!
ここには古墳もあるのだそうで、ていねいな解説版が設置されています。古墳といっても自然の中に溶け込んでいて、見た目にはわからないのですが、大昔の人とこの森でつながっているような不思議な気分になりますね。
道しるべに従って二の丘方面へ歩いていくと、途中に見晴らしのよさそうな場所が見えたので、そちらへ進んでみました。
わあ!すご~い!と思わず声が出てしまう、京都の街が見渡せる場所に出ました。
丘の上から東に向かって視界の開けるこの場所は「とおみのひろば」と名付けられていました。近くには妙心寺などの名刹、遠くには比叡山までが見渡せる自然の展望デッキです。天気が良かったのでずいぶん遠くまで見えました。ここには解説版とベンチも置いてありましたよ。
頂上エリアを満喫してからの下り道、娘が先を歩き「お母さん、ここ気を付けて!ゆっくりね」などと声をかけてくれます。
こうしてだんだん娘に助けてもらうことが増えてゆくのかなあ、などとぼんやり思いながら、子どもたちと過ごした時間がふわっとよみがえってきました。そして、過去の自分たちや、今の子どもたち、年を取ってゆく自分も含めて、いろんな事がすごく愛おしく思えてきました。久々に自然の中を歩いて、気持ちがお掃除されたのかもしれませんね。
さて、降りてきた所は「こもれびのひろば」です。ここにはベンチやトイレもあって、子ども連れで来ていた頃は憩いのオアシスでした。よくお弁当も食べたものです。
何年か前の私たちのように、楽しそうにやって来る親子連れさんの姿もありました。
案内板には双ヶ丘で観察できる樹木や野鳥も紹介されていました。また、休憩できる場所もいくつかあります。
実は最近、本格的な山登りにあこがれていたのですが、この日の散歩があまりにも気持ちよかったので心境が変わりました。遠くにある大きな山に挑戦するのも確かに素敵だけど、近くにある小さな山をのんびり歩くのもいいものだなと。むしろ時間を見つけてこんな散歩をする方が、今の自分にはしっくりくると気づきました。
ああ、来てよかった、と心から思えた帰り道でした。
双ヶ丘(名勝 雙ヶ岡)
京都市右京区御室双岡町
プロフィール
トモリロ
在住エリア:京都市右京区
メインテーマ:野菜作り/食文化
京都生まれの京都育ち。外国人の夫と二人で小さな飲食店を営んでいます。趣味は、畑。美山に通って有機野菜を作っています。
畑には誰かに聞いてほしくなる発見がいっぱい。そんな畑ばなしや、食にまつわるアレコレを中心に発信します。
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