京都の錦市場の青物問屋(八百屋さん)であったことで有名な、日本画家伊藤若冲ほか、琳派と呼ばれる絵師。どの絵もデザイン性があり美しく、私もファンの一人。ですから、琳派作品を多く収蔵されている「細見美術館」の企画展はいつも楽しみです。
今回は特別展「虫めづる日本の美—養老孟司×細見コレクション—」というタイトルの企画展を観に行きました。(2022年1月30日まで会期を延長)
岡崎のロームシアターの西にある「細見美術館」、1階受付でチケットを買うと入館の印にシールをくださるので、それを身に付け、第1展示室に入りました。
入館してまず「おや?ここは昆虫館?」と目を見張りました。
今回の企画展は、昆虫愛好家でもある解剖学者・養老孟司さんが、細見コレクションの中から「虫」を表した絵画・工芸作品を選び、それと共に、自らのコレクションや親交のある作家さんの作品を展示したものでした。
展示室中央に配された煌びやかで美しい昆虫標本は、まるで宝石のよう。まず、その美しさに「虫」の概念を覆されました。
さらに、あらゆる角度から撮影し、ピントの合ったところだけを合成して作る「デジタルマイクロコラージュ」という技法で撮影された虫の写真や立体写真は、人がデザインした合体ロボットや怪獣のようで、自然界に存在していると思えない程アーティスティックなものでした。
その他にも、虫から発想を得た作品はどれもこだわりがあり、それぞれの作者の虫に対する愛を感じられました。
1階の第1展示室を出ると階段を下りながら、第2・第3展示室を順に鑑賞してゆきました。地下へ降りてゆく美術館の構造も面白いですね。
琳派の作品も展示されていましたが、屏風や蒔絵の硯箱などすべての作品は、虫が存在するか虫にまつわるものばかり。様々な作品に登場するほど、昔から人々は虫を身近な存在ととらえていたのですね。
昆虫標本など観てから絵画や工芸品を鑑賞したので、作品の中でも思わず「虫」を探す自分がいました。展示の構成が工夫されてますね。
楽しい作品だと思ったのは、「きりぎりす絵巻」という、虫を擬人化して物語が描かれている作品。ナメクジが車を引いたり、おつきの人たちがトンボになっていてユニークで、虫版の鳥獣戯画のようでした。
次に茶室「古香庵(ここうあん)」の特別展示を観るため、3階に向かいました。(土・日曜日限定、詳しい日程は公式HPに掲載)
常設公開ではないのですが、企画展示に合わせて公開されたり呈茶を頂けることがあります。茶室にさりげなく作品が飾られているのを鑑賞できるのも魅力的ですし、茶室から岡崎や東山の風景も楽しめるので、公開されている日は立ち寄りたいですね。
茶室は、養老孟司さんの「虫供養」がテーマなので、虫づくしの室礼でした。
「細見美術館」では、細見家三代の蒐集品を基盤とした、日本美術のあらゆる分野・時代を網羅したコレクションを中心に企画展を開催されています。毎年開催される琳派展でも、さまざまな点にフォーカスを当てた企画展なので、毎回新たな発見があり、足しげく通っても飽きることのない面白さがあります。
最後に…もう一つお楽しみ、ミュージアムショップも品数が多くて充実しています。書籍や琳派のグッズの他、毎回テーマに合ったコーナーが設けられていて、品ぞろえが豊富。葉書やポチ袋・食器など、日常的に使えるものも多いので、ゆっくり見て回るのも楽しいものです。
※展示室内は、特別に許可を得て撮影しています。
細見美術館
京都市左京区岡崎最勝寺6-3
TEL:075(752)5555
https://www.emuseum.or.jp
開館時間等はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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