京都と言えば…で思い浮かぶ代表的なものの一つに「西陣織」がありますが、そんな西陣織物で印象派の絵画を表現した企画展が「西陣織あさぎ美術館」で開催中と聞き、拝見してきました。
地下鉄四条駅6番出口を出てすぐの場所にある、ツカキスクエア7階の展示場へ入ると、まず、本金箔を織り込んだ作品が迎えてくれました。西陣織の丸帯幅で織られたものを正確につないだ大作だそうで、豪華絢爛(けんらん)そのもの。
そして、次に目に入ったのが沢山の繭(まゆ)が入った容器。これは、一本の丸帯を織るのに必要な繭の数でおよそ3000個。これだけの繭からたった一本の帯しかできないなんて…西陣織物の希少性に納得です。
このコーナーは色糸の見本や西陣織の歴史年表が展示されているので、普及した時代などがわかり、西陣織の予備知識を得てから作品鑑賞ができました。
こちらの美術館で展示されている「西陣織美術工芸あさぎ」の西陣織は、1800口織のジャガード織機を駆使して織った織物です。1800口とは、袋帯巾(約30㎝)に経糸(たていと)と緯糸(よこいと)の交差する点が1800ある(一般的な西陣織の4~9倍)ことを意味し、この点の数が多いほど、繊細な色やなめらかな線が表現できるのだそうです。
30㎝に1800口ということは、1㎝に60口…1㎜分を織るのに6口‼ 思わず自分が機織りをするのを想像して、気が遠くなりました。
1800口織のジャガードの使用で、難しいと言われていた曲線の表現が可能になり、生地が薄く軽くしなやかで結びやすい帯地となったそうです。
あさぎ美術館では、そんな繊細な技術で再現された多くの絵画作品が、帯と共に展示されています。
企画展では、「浮世絵」と日本絵画をリスペクトした「印象派画家たちが描いた絵」が展示されており、構図の似ている2作品が並べて展示されていて、比較しながら鑑賞しました。作品は織物というよりも光沢のある絵画のようで、絹糸による色彩が絵具と異なる魅力になっていました。
本物の絵画ならば、こんなに一度に沢山の名画を、浮世絵と印象派セットで展示するのは難しいと思うので、この企画は大変面白いと思いました。
常設展も意外性があり、何度見ても目を見張ります。というのも、暗闇に浮かぶ輝く屏風のコーナーでは、蓄光糸で織られた作品たちが、暗闇に光を放ち、怪しい美しさなので、足を止めて見惚れてしまうのです。
別の部屋では、和柄の布のインスタレーションが、華やかで今までの豪華な作品とはまた異なる、ほっこりする良さを感じました。
常設展は、仏教美術・琳派・印象派の3つのテーマで構成されていて、西陣織の魅力を様々な形で味わえました。
長い年月継承された高度な技術が、海外や現代の物と出会い、また新たな芸術品となって育って行くなんて素敵ですね。西陣織のすばらしさは、「京都の、日本の誇れるものだ」と改めて実感できた美術館でした。
西陣織あさぎ美術館
京都市下京区烏丸通仏光寺上ル二帖半敷町661 ツカキスクエア7F
TEL:075(353)5746
https://asagi-museum.jp/
※営業時間、企画展の会期等はHPから確認を
プロフィール
大好チヨ子
在住エリア:京都市西京区
メインテーマ:博物館などのアートイベント/パン屋さん
子育てを終えて、ようやく京都歩きを楽しめるようになりました。知識がない私でも「楽しい!美味しい!美しい!面白い!」と感じたり「知っていたらお得」な情報をゆる~く伝えてゆきたいです。趣味はドラム演奏と、博物館ボランティア。
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