水ようかんなどに欠かせない〝寒天〟。実は京都・伏見で発明されたと知っていましたか?「寒天発祥の地の記念碑をふるさとに」。熱い思いが実った除幕式を取材しました。
撮影/桂伸也
2020年も暮れようとする12月27日、伏見区御駕籠町の伏見中学校の前に集まる人たちがいました。
「それでは、『寒天発祥の地』の記念碑の除幕式を行います」。司会者からマイクを手渡されたのは、「伏見寒天プロジェクト」代表の植野彰さん。江戸時代に地元伏見で世界初の寒天が作られたことに注目して、その記念の碑を建立するべく活動を行ってきました。
一昨年には「日本記念日協会」に申請し、12月27日を「寒天発祥の日」とする認定を受けました。その一年後、寒天が発明されたといわれる旅籠(はたご)跡近くにある伏見中学校の一角に、念願かなって石碑が完成。
敷地を提供した伏見中学校校長をはじめ、伏見区長、寒天製造会社の工場長など、活動に賛同・協力してきた人たちとともに、序幕のリボンを握った植野さん。掛け声とともにそれを引くと、「寒天発祥之地」と彫られた真新しい石碑が現れました。快晴の下あたたかい拍手に包まれて、植野さんも晴れやかな笑顔に。
寒天で伏見を盛り上げたい
伏見で海藻を扱う商店の7代目店主である植野さん。自宅に残されていた文献などから、地元で古くから寒天が作られていたことを知ります。
「寒天といえば和菓子などで使用するもの、というイメージですが、医学では細菌培養の培地に使用されることで結核菌などの感染症対策の研究に大きく貢献しました。また、豊富な食物繊維が腸の善玉菌の働きを助け、生活習慣病予防の効果も期待できます。そんなすばらしいものがここ伏見発祥だというのに、地元の人にもあまり知られていないことが残念でなりませんでした」と植野さん。記念碑を建てることを目標に、約5年前からプロジェクトメンバー6人と活動を始めました。
「寒天についての講演会や寒天を使った料理バトル、地元の飲食店協力のもと寒天メニューの食べ歩きなど、寒天発祥の地の認知を広めるためのイベントも多く行っています。しかし、それでは参加者にしか伝わりません。石碑があればいつでも、いつまでも訪れた人に知ってもらえますし、部活などで伏見中学校に来る他校の子どもたちにも広められるでしょう。寒天の歴史を通じて、この街の歴史にも興味を持ってくれる人が増えるようにと願っています」
記念碑を作る資金は、イベント開催時などに寄付を呼びかけて集めたそう。
「今後は『寒天カフェ』開設など考案中のこともあります。記念碑建立の寄付をしてくださった企業や人々からも意見をもらって、さらに伏見の街を盛り上げる方法を考えていきたいですね」
(2021年1月23日号より)
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