冊子「宇治で見られる野鳥」が発刊

2020年7月3日 

リビング編集部

宇治の野鳥を見守り、自然環境の保護活動を行っている「京都宇治はやぶさ隊」。今年4月、オリジナルの冊子「宇治で見られる野鳥」を発刊しました。

画像協力:京都宇治はやぶさ隊

約10年分の探鳥活動を1年がかりで1冊に集約

「京都宇治はやぶさ隊」は、前身の「宇治愛鳥緑の少年団」のOBと一般の参加者で2006年に結成。現在は約60人の隊員たちが、「野鳥を知ることは自然を知り、野鳥を愛することは自然を愛すること」を合言葉に、月に2~3回の野鳥観察会、宇治銘木調査、宇治川での野鳥調査といった活動を行っています。

これまでに、莵道稚郎皇子(うじのわきいらつこ)陵墓の森の「サギ類のコロニー(集団繁殖地)」や、「ツバメの動向調査」をまとめたものを作成してきました。宇治で観察できる野鳥全般を掲載した今回の冊子「宇治で見られる野鳥」は、A5サイズのオールカラーで全14ページ。表紙を飾る写真は夏鳥の「サンコウチョウ」、裏表紙は宇治市の鳥に制定されている「カワセミ」です。

「『宇治で見られる野鳥』には、ここ10年程の観察会や調査の成果をはじめ、隊員それぞれの探鳥経験も生かしています」と隊の代表を務める木村繁男さん。昨年5月から編集会議を重ね、木村さんを含む4人が執筆を担当。ほぼ1年がかりで制作されたそうです。

冊子を手にする木村繁男さん。「表紙のサンコウチョウはオス。数百枚の写真の中から一番写りのよいものを選びました」

宇治ならではの探鳥地5カ所 野鳥114種類が紹介されています

「冊子では、どの季節に、どこへ行けば、どんな野鳥に出あえるのか、分かりやすく紹介しています」と話す木村さん。編集に際し、宇治ならではの自然と野鳥が観察できる場所として「宇治川」「木幡池」「大吉山(仏徳山)」「山城総合運動公園(太陽が丘)」「喜撰山」に注目。イラスト地図や文章など、すべて隊員たちによるものです。写真は、実際にそれぞれの観察地で撮影したものを掲載しています。

巻末の一覧では、114種類の野鳥について宇治で見られる時季を基準に出現頻度も記されています。

「スズメやカラス、ヒヨドリ、トビといったおなじみの留鳥や初夏から夏にかけて見られるツバメたち。それに、天ケ瀬ダムの北側に広がる喜撰山では、崖に巣を作って繁殖するハヤブサを遠望することも。宇治の野鳥はバラエティーに富んでいて、自然の豊かさを感じます」と木村さん。

しかし、「かつては、冬場の宇治川に多くのユリカモメが飛来していましたが、この5年ほどほとんど見られません。野鳥を通して、環境の変化を感じることが増えてきました。

野鳥は、自然環境の変化を表すバロメーター。野鳥への興味から、ひいては自然環境へも関心を寄せてもらえたらうれしいです」。

同冊子を入手するには、1部につき寄付100円が必要。希望者は、(〒)住所・氏名・電話番号を明記し240円分(1部100円と郵送料140円)の切手を同封の上、京都宇治はやぶさ隊(〒611-0021 宇治市宇治野神1-111 木村繁男方)へ申し込みを。

問い合わせ先=kimkyotouji@docomo.ne.jpもしくはTEL:080(1405)0161(木村さん)

昨年7月の編集会議の様子。隊で定期発行している広報誌「隼だより」も参考に(左から垣内和善さん、木村さん、小原一孜さん)

身近な場所にこんな野鳥が

宇治市内にかかわらず、住宅地や街中などで一般的に目にすることができる野鳥を教えてもらいました。

写真協力:京都宇治はやぶさ隊

メジロ
花の蜜が大好きで、舌は蜜をなめ取りやすいように筆先のような形をしています

シジュウカラ
最新の研究によると、鳴き声で仲間と会話していることが報告されています

ウグイス
盛夏以降はさえずらなくなり、「ジャッジャッ」という地味な声で鳴きながら移動します

エナガ
尾がひしゃくの柄のように長いことが命名の由来。11月~2月ごろに巣を作り、4月下旬にはヒナが巣立ちます

イソヒヨドリ
もとは海岸などにいた種類。街中の川辺でも高く澄んだ声でさえずる姿が見られます

(2020年7月4日号より)