障害者への理解の第一歩は知ること

2025年1月17日 

リビング編集部

長岡京市にあるマンションの一室。障害者とその親たちなどで作る市民団体「チェリッシュクラブ」の活動拠点ですが、地域住民も利用できるよう開放されています。同団体代表に、背景にある思いを取材しました。

撮影/山嵜晃治ほか

長岡京市で活動する市民団体「チェリッシュクラブ」。同市の支援学校に通う子どもの保護者たちにより、2013年に結成されました。現在は、当時の子どもたちを含め発達障害や知的障害がある20代〜30代、その親やボランティアなど20人ほどのメンバーに。立ち上げ当初は自閉症の息子が高等部1年生だったという、大川征子さんが代表です。

「社会人になった障害者を中心に、自立のための学びを深めたり、仲間作りを行ったりしています」

長岡京市のマンションの1室が、同クラブの活動拠点「チェリッシュクラブハウス」。メンバーたちの仕事が終わった夜間に、英会話などの学習会、お菓子作りや調理実習などを定期的に開催しています。こちらの活動拠点を、地域住民に開放する試みを昨年から始めたそう。

「昼間はメンバーが利用することが少なく、『何か始めたい』という地域の人たちを応援しようと、無料で提供することにしました」

クラブハウスで計算や英会話を学ぶメンバーたち
定期的に調理実習やお菓子作りも行っています
月に一度、「チェリッシュクラブ」では、近隣の寺院を借りて楽器の演奏や合唱を楽しむ音楽活動も

その背景にあるのは、「障害者のことをもっと地域に知ってもらいたい」という思いでした。

「障害があるのは〝かわいそう〟なことではなく、〝個性〟の一つ。地域に障害がある人がいること、こうした活動をしていることを知ってもらうのが重要だと思います」

すでにフードバンクの手伝いなど、地域と関わる活動を行っているそうですが、今後はさらに交流する機会を増やしていきたいとのこと。

「障害の有無は関係なく、同じ地域の住民として自然な付き合いができる。そんな社会を目指しています」

料理や手芸など思い思いに利用を

取材に訪れた日は、地域の女性が企画した「正月飾りを作る会」が開かれていました。主催者に話を聞くと、「以前は高齢者施設に勤務していて、家に閉じこもりがちな高齢者の方が集まれる場を作りたいと考えていたんです。こちらを使わせてもらえると聞き、ぜひやってみようと思って」

折り紙やおはぎ作りなど、昨年9月から月2回のペースで開催し、多いときは10人ほどが参加して楽しんだとのこと。大川さんも毎回参加しています。

「チェリッシュクラブハウス」は3部屋。そのうちのキッチンと居間が主な活動場所です。取材時には、地域の人たちが和やかに正月飾りを作っていました
左から2人目が「チェリッシュクラブ」代表の大川さん

「クラブハウス内にはキッチンがあるほか、ミシンや裁縫道具、本なども置いています。イベントで開けている日は手芸や読書、おしゃべりをしに来てもらってもいい。地域の人の居場所になればうれしいですね」と大川さん。

「親子対象のサークルなど、室内でできることであればどんどん活用してほしい」と話します。クラブハウスの詳細や利用申し込みは、電話で大川さん=TEL:090(3862)0374=へ。

(2025年1月18日号より)