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京都の寺院にも広がる、〝おそなえ〟で子どもの貧困を救う活動とは

2021年11月26日 

リビング編集部

(左)「おてらおやつクラブ」の活動では、各寺院に集まる〝おそなえ〟の中から日持ちするお菓子やくだもの、日用品などを支援団体に送っています(右)支援先からは子どもたちのお礼メッセージが届くことも ※いずれの写真も「おてらおやつクラブ」提供

お寺に集まる〝おそなえ〟を、子どもを支える全国の支援団体に〝おすそわけ〟している「おてらおやつクラブ」。奈良で始まったこの活動、今では京都でも56の寺院が参加しています。

「地域に開かれたお寺にしたい」と話す「本昌寺」の児玉しおりさん ※撮影のためマスクを外しています

千本出水近く、350年の歴史を持つ日蓮宗「本昌寺」。住職の妻、児玉しおりさんが認定NPO法人「おてらおやつクラブ」の活動を知ったのは、約2年前のことでした。

「子どもの貧困問題を解決したい」と、奈良県「安養寺」の住職・松島靖朗(せいろう)さんが立ち上げた同クラブ。檀家(だんか)からの〝おそなえ〟を、子ども食堂やフードバンクといった支援団体に〝おすそわけ〟という形で寄付することが主な活動となっています。2014年に結成されてからその輪は全国に広まり、現在では宗派を超えて1694もの寺院が活動を行っているそう。

「本昌寺」では、法要などのおそなえもののほかお中元やお歳暮も寄せられます。消費期限が短い生菓子などが重なったときは廃棄せざるを得ないこともあり、「もったいない」と思っていたというしおりさん。住職と相談し、すぐに活動への参加を決めました。

〝おすそわけ”を送る際は、同クラブ事務局のウェブサイトで支援先の団体情報を確認。「手元にあるおそなえの種類や数によって、関西圏の中から送り先を決めています」

受け取った支援団体からは、「子どもたちが喜んでいました」「イベントで配ります」などのメッセージが届くことも。「高級な和菓子より、段ボールの隙間を埋める駄菓子が喜ばれたり(笑)。あえて大きめの箱を選んで、駄菓子をたくさん入れるようにしているんですよ」

ヨガレッスン、カフェ、野菜市なども開催している同寺。参加者から「『おてらおやつクラブ』で使って」と食品や文房具などをもらうことが増えたのだとか。

「本来お寺は、地域の人の憩いの場や心のよりどころでした。さまざまな活動を通して、その役割に近づいていけたら。檀家に限らず、子どもたちへ届けたい食品や日用品があれば持ち込みも歓迎です」としおりさん。その際には同寺に事前に一報を。本昌寺=上京区出水通六軒町西入七番町341、TEL:075(841)9030。

「おてらおやつクラブ」に賛同するその他の寺院は、同クラブのホームページで確認できます。
https://otera-oyatsu.club/

困窮する家庭に直接発送を行う寺院も

「おてらおやつクラブ」には、生活が苦しい家庭から直接〝助けて〟の声が届くことも。18歳以下の子どもがいるひとり親家庭を対象に、食料品などを同クラブから直接送付しています。2020年度はその数1720世帯にも。年末年始は学校が休みになり、生活費の負担が増すことでさらにSOSが増えるそう。

そこで、各地の寺院から直接家庭に支援品の発送を行う「歳末助け合い2021」を企画。

綾部市にある真言宗「千手院」は、こちらにも参加しています。

同クラブの活動は6年目という住職の妻・木原典子さんは、「お歳暮をたくさんもらう時期なので、ぜひ役立てられれば。檀家さんも活動を知って、日持ちのよいおそなえをくださる方もいます」。12月は住職と2人で配送準備に当たる予定とのこと。

支援を希望するひとり親家庭の人は、右記「おてらおやつクラブ」ホームページ内の「お母さん・お父さんへ」のページへ。

「おてらおやつクラブ」の旗を掲げる「千手院」

(2021年11月27日号より)