コロナ禍に立ち上がった市民団体「チーム上京!」。認知症である代表を中心に、地域でさまざまな活動をする中で、近隣住民の輪が広がっています。
認知症当事者が中心となって住みよいまちづくりを考え、進めていこうという市民団体「チーム上京!」。代表は、若年性認知症を患い、体がまひする難病も抱える安達春雄さん(72歳)です。
64歳で若年性認知症と診断された安達さん。できないことが少しずつ増え、体も不自由になる中、理解ある友人とゴルフに行ったり、妻の奈々子さんと散歩がてら近くにある認知症サロンに出かけたりしていたのだとか。ところがコロナ禍でそれらもかなわない状態に。
そこで「身近なところでもっと人とつながりたい」「地域のために貢献したい」という思いを、京都市長寿すこやかセンターが開催する「若年性認知症本人交流会」で打ち明けたのが2021年。それを聞いた当時のスタッフ・橋本千恵さんが、上京区の福祉事業所や地域活動に携わる住民に声をかけ、どんなことができるのかを話し合うことに。集まったのは安達さんを含め9人。
「安達さんが今困っていることは、私たちもいずれ困る可能性がある。安達さんのような方が暮らしやすい街、もっと住みよい地域にするため活動していこうと全員の意見が一致したんです」と橋本さん。そして、同年6月、「チーム上京!」が結成されました。
近隣の住民とおしゃべりやゲームも
最初の活動は、安達さん宅のガレージを開放して地域住民が集えるカフェを開く、というものでした。地域のシニア男性グループ「珈琲男団」がコーヒーを提供。20人以上が訪れ、安達さんもおしゃべりを楽しんだそう。その後も月に1度のペースで開催。堀川商店街に拠点を置く「堀川こども団」の子どもたちが訪れ、絵本の読み聞かせやゲームなどを一緒にした回もありました。
「外出時に休憩できるベンチがあれば」という安達さんの思いを受けて、街のベンチを探すイベントも開催。参加した地域の人々は街の中を車いすで移動する体験も。
夏は、安達さんがびわ湖でウインドサーフィンに挑戦するのを、多くの人がサポート。
「障がい者のプールボランティアをしている人が安達さんの泳ぎの練習に立ち会って、滋賀のサーフショップのスタッフが車いすをサーフボードに固定できるように調整。福祉関係者やメンバーの友人などの協力もあり、安達さんがウインドサーフィンをすることに成功しました」と橋本さん。
そのほかにも、編み物がしたいという近所の視覚障がいのある子の希望で「手芸部」を作ったり、ランニングをしながら地域の防犯パトロールをする「パトラン」へ参加したり、メンバーが「楽しそう」と思うことは積極的に実施。活動に興味がありそうな人には声をかけ、いま、どんどんと人の輪が広がっているといいます。奈々子さんは、「顔も知らなかった近隣の人とたくさん知り合うことができ、活動以外でもつながるようになりました。夫の認知症とまひは進んでいますが、人が集まるとしゃきっとして元気になります」と話します。
「認知症であっても安達さんのように自らやりたいことを発信すれば、きっと助けてくれる人がいます。そして周囲はその声に耳を傾けることが大切なんだと思います」(橋本さん)
現在活動は不定期ですが、誰でも参加可能。詳細はフェイスブックで。「チーム上京!」で検索を。問い合わせはメール=namonamo918@gmail.com=で安達奈々子さんへ。
(2024年10月5日号より)
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