ビールの原材料の一つ、ホップ。それを中京区で育てている人たちがいます。あまりなじみのないこの植物が、人と人をつなぐツールに。主催者を訪ねて話を聞きました。
「ホップ」の響きがひらめきのもとに
緑の草花や木々の間を、さわやかな風が吹き抜ける―。中京区役所の屋上に広がる別世界に記者が驚いていると、一人、また一人と参加者が集まってきました。
8月上旬、ここで行われていたのは〝ホップ〟の収穫祭。「今からホップの毬花(まりばな)をハサミで切っていきますよ」。みんなの中心で元気な声をあげていたのが、「エビバデ京ほっぷ」の代表・橋本千恵さんです。
「ホップを育てることを通じて、地域の仲間づくりをしたい」と、橋本さんがこの活動を始めたのが昨年の秋。メンバーの自宅などで苗を植えるほか、みんなで一緒に育てられる場所があればと考えていました。そんなとき出会ったのが、中京区役所の屋上で草花を育てている「中京・花とみどりの会」代表の西村さん。屋上の一角を借りられるようにしてもらい、メンバーとともに3月、プランターに苗を植えたのでした。
それにしても、どうして〝ホップ〟なのでしょう。橋本さんに聞いてみると、「言葉の響きが面白いでしょう。〝ホップを育てませんか〟というと、若い人にも興味を持ってもらえると思って。私がビール好きということもあるけれど」とにっこり。実際に育てている知り合いがいたこともあり、この植物を活動のシンボルとすることにしたのだそう。
摘み取った毬花は約2cmの松かさ状で、2つに割ってみると中には黄色の粉が。「これがビールの香りのもとになるんですよ」。橋本さんの言葉に興味深そうにのぞき込むメンバーたち。割った毬花は炭酸水のボトルの中へ。しばらく置いてからコップに注ぎ、「乾杯!」。あちこちから、「少しビールの香りがするかも!」とうれしそうな声が聞こえます。記念すべき初収穫のホップ水を片手に、歌を歌ったりおしゃべりしたりと交流を深めていました。
集まりにくい時代だからこそ
「今は〝一緒にやりませんか〟と大勢に声をかけづらい社会情勢ですね」と橋本さん。苗を植えて以降はメンバー同士も集まる機会がありませんでした。そこで利用したのがSNS。苗の生育状況を撮影して共有したり、自宅や職場などで育てている人は互いにアドバイスを送ったりと、離れていてもコミュニケーションをとっていたのだとか。
「来年は育てる人をさらに増やしていきたいですね。メンバー宅の庭先など、少人数で屋外で集まれるよう折り畳み式の〝モバイル屋台〟も作りました。こんな時代だからこそ、人と人とがつながれる方法を考えていきたいと思っています」(橋本さん)
活動の様子はフェイスブック「エビバデ京ほっぷ」で検索。
問い合わせはTEL:090(3869)7962、rurusasamasimo5@gmail.com(橋本さん)まで。
(2020年9月12日号より)
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