大掃除の時に考えたい〝もの〟との付き合い方

2023年12月8日 

リビング編集部

大掃除の時に考えたい〝もの〟との付き合い方

大掃除の時期になると、ものの処分について悩む人も多いのでは。スッキリとしたいけれど、サスティナブル(持続可能)を大切に考えると…。実際どうのようにしているか、ふたりの人に聞きました。整理収納アドバイザーに、処分時期の考え方について教えてもらっています。

何か一つ増やすなら、何か一つ減らすようにしています

環境問題の研究者として活躍する、浅利美鈴さんに、自身の日常生活について話してもらいました。

「以前は洋服を買うのが大好きで、何百着といっていいほど持っていたんです。それが、東日本大震災の際に何もかもが一瞬にしてごみになってしまったのを見て、考えが変わりました」

現在は、日ごろからものを減らすように心がけているそう。

「食べものも洋服も、家の中の収納する場所を1カ所に決めています。そこに入り切らなくなるほどには、増やさない。一つ増やすなら、一つ減らすんです」

そのため、洋服などを買う時に心がけていることは「多少無理してでも、高いものを買う」こと。そうすると「新しいものが欲しくなったときに、あれが高かったからこれは我慢しよう、と思うんです」と。

1〜2年して着なくなった新しめの洋服は、身近にいる留学生に譲るのだとか。着物をアップサイクルしてスーツにすることも。ギフトのタオル類などは途上国に出張に行く際に持参して現地で寄付、日本では寄付サイトも利用します。 

「10月に京都大学から異動するときは研究室に書類や本が山積みで。古いものは処分し、必要な資料はすべてスキャンしてデータとして残すようにしました」

浅利さんは、京北の廃校を利用した施設で〝物々交換〟ができるような部屋も運用し、自ら活用しています。

総合地球環境学研究所 教授 浅利美鈴さん

総合地球環境学研究所 研究基盤国際センター・教授。京都大学環境科学センター助教を経て、京都大学大学院地球環境学堂准教授の後、今年10月から現職

「ものが多いと探しものをするのも大変。それに使う時間ももったいないですね」(浅利さん)

使えるものはとことん使い、使わないものは即リサイクルへ

「洋服は破れたら替える、これがわが家の方針なんです」と話すのはフリーアナウンサーの遠藤のぶこさん。「もったいない世代で、捨てられない人」なのだとか。

「本当に気に入ってるものは、自分で直して着ています。30年くらい前のセーターとか、いっぱいあります(笑)。ただ、見た目にヨレヨレだったり、毛玉だらけという状態のものは、見慣れている自分では気づかないことも多いので、第三者、私の場合は娘に見てもらって、しまいにするようにしています」

Tシャツや肌着など布製の物は、四角く切って大小の布に。「ふきんにしたり、窓の溝や排水溝の汚れを拭く雑巾がわりにしたり。フェイスタオルも、洗面所から台所の台拭き、そして床拭き用の雑巾と徐々に使い方を変えて最後は古布回収でリサイクルへ。ケチなんですよ(笑)」

環境問題に興味を持ち、番組にその分野の専門家をゲストに迎えることも多いという、遠藤さん。さまざまな取り組みを知って、「自分でもできることを」という思いが強いといいます。

「食器など頂きもので使わないと思う物は、すぐにリサイクルセンターやフリーマーケット、バザーなどに持ち込みます。フリマアプリも活用。着なくなったけれど、まだ使える洋服や、宣伝用のペンなど使わない文房具などは、途上国のチャリティーに出すことも。インターネットで探すといろいろな方法が見つかりますよ」

フリーアナウンサー 遠藤のぶこさん

フリーアナウンサー、合同会社ルナワード代表。MBSラジオ、京都リビングエフエムなどに出演中。環境社会検定に合格し、エシカルライフを広める活動も

「このシャツ、娘のなんですよ。飽きた服は家族で使うことも」と遠藤さん

整理収納のプロに聞いた家の中の〝もの〟、処分時期の目安は

あなたの家には、どのようなものが、どれくらいありますか?

大掃除をきっかけに、それらを見直して、すがすがしい気持ちで新年を迎えませんか。「大切なのは、残すもの、処分するものを自分で納得して決めること」と、整理収納アドバイザーの吉川裕子さん。

ものを処分する時期の目安は? 吉川さんに、そのヒントとなる話をしてもらいました。

教えてもらったのは

吉川裕子さん
「心とモノを整える[COM]」の主宰。整理収納アドバイザー、傾聴療法士。リビングカルチャー倶楽部の講師も

まな板、保存容器はよく見て

「臭いが付いていたり、変色していたりするものは、処分の時期。新しくしましょう」

未使用の食器、使うのはいつ?

「棚や押し入れの奥の方にしまい込んであるような食器は、5年使っていなければ①その日から使うか②手放すか、の2択です。来客用に置いてあるという人もいますが、そのお客様はいつ来られますか? それほど予定がないなら、その食器を常用にしてみませんか。気のはらないお客様なら、常用の食器でお出ししていいのでは」

紙コップなどは1年以内に

「紙コップや紙皿、紙に包まれた割りばしなど、長い間置いてある紙類には虫が付いていることもあるので、使用していなくても1年たっていれば処分を」

人に譲るものは早めに

「買ったけれどあまり気にいっていない、また使用頻度の低いカバンなどは、早めに次の人へ。最近は、フリマサイトなどで売る人も多いようです。『いつかは使う』と残しておいて10年たったものより、比較的新しいもののほうが喜ばれます」

おもちゃの処分は子どもの意思を尊重してから

「子どものおもちゃは、主権が子どもにあります。まずは、子どもの気持ちを大切に。持っていたいものなら、処分しないで。ただ、長い間使っていなくて、スペースをとるようなら、いったん子どもの目の届かないところに移動させましょう」
3カ月ほどたっても無いことに気づかないようなら、興味がないと思ってもいいようです。

洋服は〝賞味期限〟を決めて判断

「洋服は購入するときに『この服は3年間着たおそう!』と自分で〝賞味期限〟を決めて、十分に楽しむのです」と吉川さん。期限が来たら、さらに続けて着るのか、そこで処分するのかを判断するといいそう。

ただ、「家族の洋服は家族に主権があります。着ていないからといって、本人の気持ちを聞かず黙って処分するのはやめましょう。残しておくかどうかを本人に聞いて『任せる』と言われたら、処分の時期かもしれません」

次の一歩を踏み出すために

吉川さんは「古着の処分は、途上国の子どもたちのワクチン接種に活用されるという寄付の取り組みを利用しました」と言います。

「たとえば両手にものを持っていたら、別のものが持てないですよね。何でも持ちすぎていると、新しいものや新しいことが入ってきません。スッキリとして、次の一歩を踏み出しましょう。それが豊かな人生につながるのではないかと思います」

いまの時代〝ものを処分する〟が、すなわち〝ものを捨てる〟ではないようです。自分にとって不要なものが、誰かにとって必要な何かに変えることができる取り組みも各種あります。

今年の大掃除、あらためて〝もの〟との付き合い方を考えてみませんか。

(2023年12月9日号より)