将棋の対局時などによく話題に上る〝勝負飯(めし)〟。決まったメニューを食べることで、力が発揮できたという経験がある人もいるのでは。そこで、読者に勝負飯について聞いてみました。
※2023年6月、リビング読者にアンケート。有効回答数282。本文( )内は読者のイニシャル イラスト/オカモトチアキ
験担ぎや語呂合わせで、読者の半数が〝経験あり〟
受験や試合、重要な会議といった大事な日の前や、ここぞというときに食べるご飯のことを、勝負飯といいますね。読者に聞くと、約半数の人に決まった勝負飯があるそう。験担ぎから縁起物まで、メニューは家庭によってさまざま。なかでもトンカツや唐揚げ、赤飯が多数でした。
家族のために愛情を込めて作られた料理は、気合を入れたいときの強い味方に。読者からも、「食べると力が湧いてくる」「心もおなかも満たされて幸せな気分になる」といった声が。いくつかのメニューとともにエピソードを紹介します。
そうした勝負飯にまつわる心理についても、専門家に聞きました。
好物でやる気アップ!
唐揚げをドーンと大皿で
子どもたちが大好きな唐揚げをここぞというときに大量に作ります。ドーンと大皿にのせて出したら、あっという間になくなることも。 親も子も「次の日頑張るぞ!」というときはニンニク入りに。たくさん揚げるのは大変ですが、 子どもたちが喜んでくれるので、私もやる気が出ます!(UT)
学生時代の懐かしい味
唐揚げとわかめご飯。私が大好きだったので、体育祭や文化祭など、学生時代のイベント時のお弁当に必ず作ってくれました。作り方を聞いても、「しょうゆをタラッと」「サッと炒める」と擬音が多く、私には作れません。(NA)
妻が作るお好み焼き
妻の作るお好み焼きは外食に負けないおいしさ。 大事な商談の前日に食べて、元気モリモリで臨みます。(KY)
世代を超えて愛されるエビチリ
母直伝のエビチリは祖父母から両親へ、そして私たち夫婦や子どもへと、ずっと受け継いでいる大好きな味。だからこそ思い入れもあり、愛のパワーがみなぎる勝負飯です。 大人はチリ多め、子どもはケチャップ多めで最後に辛さを調整していただきます。(NA)
うどんのトッピングを変えて
離乳食のときから短く切ったうどんが好きだったので、ここぞというときはうどんです。消化がいいので運動前にも最適。試験前はエビ天、デート前はきつねとトッピングを変えて勝負に挑んでいます。受験前夜は鍋焼きうどんですかね。(HC)
夫の愛情がたっぷり!
タイに住んでいたことがある夫特製のガパオライス。大切な仕事の前によく作ってくれます。タイバジルの香りで食が進み、毎度完食。出産直前にも作ってくれて、心もおなかも満たされました。(BC)
ソースから作る大きなラザニア
テスト前、発表会前と子どもたちに頑張ることがあるとき、大好物でもあるチーズたっぷりのラザニアをソースから作ります。おなかいっぱい食べられるよう、大きな耐熱容器で用意。(TM)
試合前にはカツで気合を
定番のトンカツを
試合の前になると、敵に「勝つ」という語呂合わせで母がトンカツを作ってくれました。食べると安心し、実力を発揮できる気がするので、社会人になった今でも大事な商談の前は、トンカツを食べるのが恒例に。(SN)
思い出のビフカツ弁当
勝負の日は、必ず母がビフカツをお弁当に入れてくれました。大学受験のときは、残念ながらそれでおなかを壊したというオチが付いていますが…。(WN)
「胃もたれしない」とヒレ肉で
テストや試合の前、勝利を祈ってヒレカツを作ります。ヒレ肉にする理由は、柔らかくて脂身が少なく胃もたれしないから。いつも皆、しっかり食べて頑張ってくれるので作りがいがあります。(MK)
感謝のカツカレー
受験や部活の試合など大事な日の前は、母が必ずカツカレーを作ってくれます。食べるといつも頑張ろうと思えるので、母には感謝しています。(KK)
肉のパワーで元気に
代々受け継がれる豚バラ鍋
ここ一番の大事な勝負前には、豚バラとニラたっぷりのお鍋を食べて元気を出すのが実家での決まりでした。小さい頃はホルモンが苦手だった私に合わせて、モツではなく豚バラにアレンジしてくれたみたいです。両親はすでに亡くなりましたが、私の家族に受け継がれ、今は子どもたちが喜んで食べています。(OK)
出産前に家で焼き肉
子ども2人の出産前は、焼き肉を食べて気合を入れました。近くのお肉屋さんで部位ごとにお肉を購入。ごま油、しょうゆ、砂糖、ニンニクで下味を付け、寝かせてから焼きます。(CA)
いつもより〝いい肉〟で牛丼を
夫の重要な会議の前によく登場するのが牛丼。いつもよりちょっといいお肉をたっぷり使って作ります。(TM)
運気を上げる縁起物
試し作りから恒例に
合格してから赤飯を作るつもりが、小豆を水につけたりゆでたり手間がかかるのと、うまくできるか心配もあり試しに作ってみることに。好評だったのと合格もしていたので、それから勝負の前に食べる恒例メニューになりました。(IK)
にしんそばで全て合格!
母が作るにしんが入ったおそば。入試前日に必ず作ってくれました。母いわく、年越しそばは1年の災厄を断ち切るといういわれがあるから、そばは試験に落ちるという災いを断ち切れるとか。にしんは景気づけだそうです。半信半疑で食べたら全ての入試に合格できたので、私も子どもたちに作るように。見事に子どもたちの入試も全て合格。いまだににしんそばのおかげかは疑問ですが…。(FK)
勝負スイーツも!
手作りケーキを家族のために
誕生日はもちろんのこと、家族の大事なときや、日々の暮らしに彩りを添えたいときにケーキを作ります。その場が幸福感で満たされて、食べ終わると満足度と充足感でいっぱいに。明日への希望と活力にもなる勝負ケーキです!(MK)
料理に込められた思いを力に変えて
「勝負飯とは、スポーツ選手が試合前に行うことでも知られる〝ルーティン〟の一つです」と話すのは、立命館大学食マネジメント学部教授の和田有史さん。
「勝負前に決まった行動をとることで〝やるべきことはやった〟と思い、実際にパフォーマンスが上がるといわれています。気持ちを切り替える手段にもなりますよ」
また、家族が作ってくれた勝負飯には、ほかにもうれしい効果が。
「作る側は料理を通して気持ちを伝えられ、食べる側はそれを受け取って力に変える。家族の思いを感じられるのでは」
和田さんによると、勝負飯に何を食べるかも大切なのだそう。
「勝負前に糖質からエネルギーを取ると血糖値の減少がゆるやかで、集中力が持続します。おにぎりやパスタなどがおすすめですよ」
立命館大学 食マネジメント学部
教授 和田有史さん
(2023年7月29日号より)
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