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一人一人の事情に合わせて〝わたしの防災リュック〟を作ろう

2022年9月2日 

リビング編集部

一人一人の事情に合わせて〝わたしの防災リュック〟を作ろう

9月は防災月間。あなたは、いざというとき持ち出せる防災リュック(非常用持ち出し袋)を常備していますか?防災のプロに、中に入れる物の選び方や、用意するコツを教えてもらいました。

※リビング読者にアンケート。有効回答数1015。本文( )内は読者のイニシャル・年齢 イラスト/ずーたん

読者の防災リュックの中身を調査!

あなたは防災リュックを備えていますか?

地震や豪雨など、いつ起こるかわからない災害。

読者にアンケートを行ったところ、「防災リュックを備えている」という人は、46%でした。その中身を尋ねると、災害食(非常食)や着替えなど基本的に必要とされるアイテムのほかに、自分や家族の心身を考えた〝わたしならでは〟〝わが家ならでは〟のアイテムがいくつか挙がりました。理由とともに、ピックアップして紹介します。

日本防災士会京都府支部の防災士・田中英樹さん、防災用品を手掛ける「カスタネット」の植木力さんにも、より良い備えのためのアドバイスをもらいましたよ。以下でも詳しく紹介しています。

この機会に一人一人の事情に合わせた〝わたしの防災リュック〟を作りませんか。

保湿クリーム・かゆみ止め

「子どもの肌は弱いので、汗や乾燥によるかゆみ対策に」(YK/34)

薬・おくすり手帳

「持病があるため。常備薬や漢方薬も入れている」(MS/61)

「普段服用している薬がわかるよう、おくすり手帳の写しを用意」(SS/48)

写真データを保存したUSB

「家に万が一のことがあったとき、思い出の写真が紛失しないように。データならかさばりません」(EH/36)

お菓子

「慣れない避難で子どもが落ち込まないよう、子どもの好きなお菓子を入れています」(MK/45)

眼鏡

「目が悪いため。度が少し合っていないが、以前使っていた物を予備にしている」(AS/60)

ベビー用品

「赤ちゃんがいるのでおむつ、おしりふき、衣類、タオル、哺乳瓶、ミルクなどはワンセットにしています」(HC/36)

プロのアドバイス
「赤ちゃんや子ども用の備えも大切ですね。子どもの成長は早く、特に衣類はすぐサイズアウトしてしまいます。今後も成長に合わせ、都度中身を見直しましょう」(植木さん)

地図

「引っ越して2年ほどでまだ土地勘がないので」(KY/47)

プロのアドバイス
「安全な避難経路の確保のため、ハザードマップを参考にルートを地図に書き込んでおきましょう。実際に歩き、用水路や高い塀など地図だけではわからない危険を確認しておくことも大切です」(田中さん)

京都府マルチハザード情報提供システム(http://multi-hazard-map.pref.kyoto.jp/top/top.asp)は自宅周辺などの水害・地震・土砂災害などの危険をまとめてチェックできます

防災の専門家に聞くリュック作りのコツ

防災リュックを作るには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。

「自分でサッと持ち出して背負えるサイズ・重さにまとめることが大事。足腰が弱い人は、キャリー付きの物もおすすめです」と、防災士の田中さん。

「中身は、最低3日分の災害食・飲料水(※)、着替えを用意しましょう。本当は1週間分が望ましいのですが、背負える範囲で調整を。かさばる物は圧縮袋でコンパクトにしてもいいですね。暑さ・寒さ対策グッズは、季節ごとに入れ替えましょう」

これら基本のアイテム以外に、自分仕様にするために必要な物は?

「持病の薬、視力・聴力矯正器具など、その人に合わせて調整された物は必ず入れておきましょう。女性の場合、生理用品も1周期分など、多めに用意を」

また、避難所の事情を知ることで、備える物をイメージしやすくなるそう。心得ておきたいポイントごとに、田中さんにアドバイスをもらいました。

※‌農林水産省「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」によると、1日に1人あたり飲料水として最低限必要な量は1ℓ程度。体重1kgあたり15mlが目安

食べ物事情

避難所に備蓄された災害食は種類に限りがあり、アレルギー未対応の場合も。2〜3日支援物資が届かない可能性を考え、自分が問題なく食べられる食材の災害食を用意。

トイレ事情

避難所や仮設トイレは和式が多いよう。普段洋式しか使わない人や温水洗浄便座を利用する人は、折りたたみ式の補助便座、携帯洗浄器の検討を。

ペット事情

ペットの受け入れ態勢はすぐに整わないことも。また、人とペットの生活区域を分け、飼い主が都度お世話しに行くケースもあるとか。リードやケージの他、エサ、薬、トイレシーツなどを入れた〝ペット用の防災バッグ〟も考えて。

プライバシー問題

プライバシーの確保が難しい避難所。簡易トイレや着替えるときなど、体を覆って目隠しになるレインコートやポンチョがあると便利。

教えてくれた人

日本防災士会 京都府支部 支部長
田中英樹さん

長年消防職員として勤務し、阪神淡路大震災の支援にも参加。定年退職後、防災士として活動。

外出時のもしもに備えて
防災ポーチの用意を

会社、学校など外出先で被災する可能性も。最低限のアイテムをまとめた「防災ポーチ」を持ち歩くのがおすすめとか。

「停電や通信障害で電子決済、スマートフォンが使えないことも。日ごろから現金を備え、緊急連絡先も紙に控えておきましょう。すでに普段使いのかばんに入っている物との兼ね合いで、中身をアレンジしてみてください」と田中さん。

[最低限入れておきたいもの]

  1. ①小銭やテレホンカード(公衆電話用)
  2. ②常服薬・常備薬
  3. ③緊急連絡先のメモ
  4. ④モバイルバッテリー

非常時こそ使い慣れた物がのよりどころに

防災用品を企画・販売する「カスタネット」の植木さんは、被災地の避難所で多くの人たちの話を聞いています。

「避難所は物資不足やプライバシー問題など、我慢を強いられます。〝非常時だから当然〟という意見もありますが、やはり〝非常時こそ普段通りの生活がしたい〟のが本音だと、多くの人が打ち明けてくれました。

中には、『慣れない味の非常食を食べきるのがつらかった』という人も。非常時はなるべく不安をやわらげたいもの。例えば市販のふりかけにも各家庭で定番の品があるように、食べ慣れた〝わが家の味〟を備えるだけでも、心持ちは変わってきます。

食べ物以外にも、気持ちを落ち着かせる物を用意しておきたいですね。子どもにとってのおもちゃも立派な防災グッズだと私は思います。

自宅にある使い慣れた物を活用し、できるだけ〝普段通り〟を感じられる防災リュックを目指してみてください」

教えてくれた人

カスタネット 社長
植木力さん

東日本大震災をきっかけに自社で防災用品を手掛ける。その後10年以上、東北・熊本など全国の被災地でヒアリングを続ける。

読者の体験談あの時、必要だったものは?

避難経験のある読者に、当時「持っていてよかったもの」「持っておけばよかったもの」を聞きました。

  • ‌「大判のバスタオルを持っていたので、着替え時の目隠しや、布団代わりになりました」(YN/50)‌
  • 「避難で疲れているので、とにかく体を休めたかった。眠るときに周囲の音が気になってしまうので、耳栓があってよかったです」(HI/57)
  • 「寝る前に子どもに読み聞かせている本を持って来ればよかった。時間を持て余した子どもが走り回ります…」(IO/45)
  • 「基礎化粧品がほしかった。気がめいっている上、肌のケアができず、乾燥や日焼けでみすぼらしくなっていく自分や子どもの姿に、より悲しくなりました」(KK/53)
  • 「震災で着の身着のまま避難。お風呂もなく、体を拭くボディーシートが必要だと思いました」(YK/53)
  • 「電話ボックスしか使えない状況に。小銭を持っていて助かりました」(NY/78)


写真を投稿しよう!
#わたしの防災リュック

〈募集期間〉
〜2022年9月30日(金)

いろんなリュックの中身を見れば、自分に必要な備えの参考になるかも。そこで、「リビング京都」公式インスタグラム(@living_kyoto)でみなさんの防災リュックの写真を募集します。みんなでシェアして、防災意識を高めましょう。

〈投稿方法〉

  1. 防災リュックとその中身(おすすめ、こだわりの1点のみでも可)を撮影
  2. インスタグラムにハッシュタグ「#わたしの防災リュック」を付け、簡単に中身の紹介を書き添えて写真を投稿

(2022年9月3日号より)