「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2021」が京都市内12カ所で

2021年9月22日 
Seeds on Mr. Iwasaki’s palm, 2017 ©︎Yuna Yagi

国内外のフォトグラファーなど、気鋭のアーティストによる作品を、京都の歴史的建造物や近代建築の空間に展開する「KYOTOGRAPHIE(キョウトグラフィー)京都国際写真祭」。9回目となる今回は、2021年10月17日(日)まで京都市内12カ所で開催されています。

今年の見どころを同フェスティバル共同創設者/共同ディレクターの仲西祐介さん、ルシール・レイボーズさんに聞きました。

2021年のテーマは「ECHO(呼応)」

左から仲西祐介さん、ルシール・レイボーズさん ©︎Isabel-Muñoz

「KYOTOGRAPHIE」はその時々の社会問題や環境問題からテーマを考え、いま世界で起きていることを一人ひとりが自分の問題として認識することを目指しているそう。今年のテーマ「ECHO(呼応)」には、どのような思いが込められているのでしょうか。

「写真は今を切り撮り過去を記録するメディアです。過去が現在にエコーし、現在が未来にエコーしていく、〝ECHO〟を生み出す装置と言えるのではないかと考えています。コロナ禍という今の状況などが未来にエコーしていくことを、東日本大震災から10年という節目になる今年、アートを通して一緒に考える機会となれたら嬉しいです」

会場を巡り、新しい発見に繋げて

京都のさまざまな建物が会場となるのも同フェスティバルの特徴です。ギャラリーや博物館のほか、二条城二の丸御殿、琵琶湖疏水記念館、出町桝形商店街など市内12カ所が会場になっています。

「京都の街にある建物が元々持つ力を使い、作品をより感じられる会場選びや展示を行っています。そうすることで作品の内容から、さらに建物の歴史や街を知ってもらう役割にもなれたらと思っています。例えば出町桝形商店街の展示では、商店街に残っている過去の写真を使い、アーティストのンガディ・スマートがアフリカの写真をコラージュした作品を展開しています。琵琶湖疏水記念館は屋外スペースで展示がありおすすめです」

ルシールさんと仲西さんも東京から京都へ引っ越し、今年で10年を迎えたのだとか。

「新しいものや刺激があるといえばもちろん東京の街ですが、本質的なことは京都から学ばせていただいています。厳しさや深さ、昔からあるさまざまなものを大切にする心など、京都の街には本当にいろんなことを教えてもらいました。その上で古いものから新しいものを生み出す京都のユニークさにクリエイティビティを刺激され、活力になりました。街中に点在した会場を巡ってもらうことで、みなさんの新しい発見に繋がったら良いなと思います」

また、「今後も長く開催を重ねていきたい」と二人。

「この1年半は文化的なイベントが軒並み中止になり、人間的な営みを送れる日はもう二度と来ないのではないかとすら思える日々が続いています。感覚は閉ざされ、心が疲弊してしまい、自分が自分らしくいられる何かを人々は強く求めているのではないかと思います。こんな時だからこそ、アートの力で人々に生きている感覚を呼び起こさせることができるのではないか、と考えました。

アートフェスティバルは、世を変えていくきっかけになると信じています。見た人の意識の中では少しずつ何かが変わってると思うので、みんながハッピーになるようそれを形に出来るところまでやっていきたいと思います」

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021

会期:2021年9月18日(土)〜10月17日(日)
展示情報、チケットの詳細は下記公式ホームページから確認を
http://www.kyotographie.jp

〈問い合わせ〉
KYOTOGRAPHIE事務局
TEL:075(708)7108