9月20日は「バスの日」。京都における歴史や最近の動き、地域を走るコミュニティバスのこと…。いろいろなトピックスを知れば、身近なバスがもっと好きになるかも!
各社の最短・最長・運行本数最多路線は?
通学に利用する大学生が多い、観光客が目立つなど、京都のバスには路線によって特徴が。そこで、京都市バス、京都バス、京阪バス、京都京阪バス、阪急バスにそれぞれ京都府内の最短・最長・運行本数最多路線を聞いてみました。普段使う路線があるか、チェックしてみて。
- 最長
- 最短
- 最多
誘導員に、幻の路線!?バスマニアが魅力を語ります
「京都はさまざまなバスが走っているのが面白いところ」とは、立命館大学アート・リサーチセンター 客員協力研究員の井上学さん。自他ともに認める〝バスマニア〟の井上さんに、京都のバスの魅力や奥深さを教えてもらいました。
「好きなのは狭い道を走るバス。例えば『阪急嵐山駅前』停〜『嵐山公園』停間。京都市バスと京都バスの運行経路ですが、バスと車がすれ違えない道幅のため誘導員がいる、珍しいスポットです。
京都市バス3系統の終点『北白川仕伏町』停にも誘導員が。狭い丁字路になっていて、バスはここでUターンをします。見応えがありますよ」
井上さんのお気に入りの車両は、京都駅周辺を走る京阪バスの「ステーションループバス」。
「京阪電車8000系特急車両のカラーにラッピングされたバス(※)も走っています。車内放送まで京阪特急の車内メロディーと同じで、こだわりを感じます。
また京都バスの鞍馬行き95系統や、嵐山を走る90系統は〝幻の路線〟と呼ばれています。なぜなら、年1回、春分の日だけ運行されるから。こうした特徴ある路線はバスの醍醐味(だいごみ)ですね。
バスは運行経路を変えることが電車ほど難しくありません。要望に応えて運行経路やダイヤの最適化を図っていく点も注目ポイントです」
※同車両を含む「ステーションループバス」の全車両は今年中に一新。
教えてくれたのは
立命館大学衣笠総合研究機構アート・リサーチセンター
客員協力研究員 公共交通アドバイザー
井上学さん
京都が歴史の舞台に
1903年日本初のバス事業その拠点は堀川中立売
「バスの日」は1903(明治36)年9月20日、日本で初めてバス事業が開始された日に由来。この日、京都で「二井(にい)商会」による乗合自動車の運行が始まりました。
路線は堀川中立売〜七条間の〝室町線〟と、堀川中立売〜祇園間の〝川東線〟の二つ。車は蒸気自動車を改良したもので、ほろなしの6人乗りだったといいます。
世間から注目を集めましたが、車両の故障が相次ぐなどし数カ月で廃業に…。「二井商会」の事業は終了したものの、その後バス事業は全国に広まっていきます。
1932年四条大宮~西大路四条間を走ったトロリーバス
架線から電力の供給を受け、モーターを回して路面を走る〝トロリーバス〟。1932(昭和7)年4月、京都市では全国に先駆けてトロリーバスを開業。四条大宮〜西大路四条間1.6km、都市における日本初の営業用トロリーバスでした。
その後、梅津、さらに松尾橋まで路線が延長。四条大宮〜松尾橋間約5.2kmを結んでいましたが、1969(昭和44)年に全廃。市バスに転換されることとなりました。
2021年京都駅周辺の路線に電気バスが登場
JR「京都」駅周辺の路線に〝電気バス〟が登場! 同駅と京阪「七条」駅、梅小路を結ぶ京阪バスの「ステーションループバス」の全車両(4両)が、2021年中に電気バスになります。
電気を動力とし温室効果ガスを出さないため、SDGsの観点からも注目されている電気バス。政府が目指す2050年までのカーボンニュートラル(※)の実現に向けて、京阪バスが導入を決めました。
「複数台で運行する路線バスの一路線全ての車両を電動化するのは、日本で初めてです」と、京阪バスICT推進部兼経営企画室の大久保園明さん。
「国際的な観光都市で電気バスが走るというのは世界へのアピールにもなります。ディーゼル車よりも走行距離が短いといった課題もありますが、脱炭素社会に向けて、いずれは全てのバスを電気化しなければと考えています」
電気バスが一般的になる日も近そうですね。
(※)温室効果ガスの排出を実質ゼロにすること
最高倍率141倍。ファン多き方向幕の世界
バスの行き先や系統番号を案内する〝方向幕〟。車体の上部などに設置されています。この方向幕、ファンの間ではかなり人気が高いようで…。京都市バスでは、今年から不定期で使用しなくなった巻き取り型の方向幕をインターネットで抽選販売。すると、2月実施分は最高倍率141倍に!
「〝金閣寺〟〝清水寺〟といった観光地が表示されているのも、全国にファンが多い理由だと思います」と京都市交通局担当者。「2018年度以降は、順次フルカラーのLED式行き先表示器を導入。系統番号などの色はそのままに従来の巻き取り型のスタイルを踏襲した、分かりやすい表示を心掛けています」
地域住民の〝足〟として活躍中
コミュニティバス
地域に住む人々の生活を支えるために—。京都の各地を走る〝コミュニティバス〟にも注目を。
ぐるっとむこうバス
2019年10月に運行がスタート。向日市内を走っているのが「ぐるっとむこうバス」。「JR向日町」停や「向日市役所前」停を共通経路とし、「阪急洛西口駅前」停などを通る北ルートと、「向日町郵便局前」停などを通る南ルートの2路線があります。車体には向日市民の花であるヒマワリがデザイン。北ルートは9人、南ルートは35人乗りのバスが運行されています。
「昨年度の乗客数は年間1万人以上。日中に病院や買い物に行く市民の足になっています」と、向日市公園交通課の担当者。「『毎日乗っています』とのお手紙をいただいたことも。より便利に乗っていただけるよう今後も工夫を続けていきます」
城陽さんさんバス
JR「城陽」駅、文化パルク城陽、アル・プラザ城陽など…。市内のさまざまなスポットをつなぐ「城陽さんさんバス」。「城陽市の東西を結ぶバスを」という市民の声を受け、1995年に開通しました。
例年の乗客者数は年間20万人以上。特徴は土日祝を含む毎日、全て同じダイヤで運行されていること。二つある路線のうち「鴻ノ巣山運動公園近鉄寺田線」は紫色、「プラムイン城陽長池線」は緑色と、車両が色分けされている点も「分かりやすい」と好評とか。スマートフォンなどで運行状況が調べられるバスロケーションシステムも導入されています。
醍醐コミュニティバス
乗客者数は延べ900万人以上。「醍醐コミュニティバス」は、住民だけで運営されています。
「『醍醐コミュニティバス市民の会』が主体です。行政からの補助金はないため財政的に厳しいですが、住民やパートナーズと呼んでいる地元企業・団体からの協力で運行しています」と、同会理事長の村井信夫さん。「1997年、地下鉄東西線の開通により醍醐エリアを走っていた市バスが撤退。住民からバスを求める声が多く上がったことが『醍醐コミュニティバス』誕生のきっかけでした。特に高齢者の利用が多く、こもりきりを防げているのではと思います」
住民はもちろん、醍醐寺などへ行く観光客への利用促進にも取り組んでいるそう。「地域で一体となり、次世代まで『醍醐コミュニティバス』を引き継いでいけたら」
明星レインボウバス
「明星(みょうじょう)レインボウバス」は「宇治市のりあい交通事業」を活用し、明星町自治会が主体となり、京都京阪バス、宇治市の三者協働のもと運行しています。スローガンは「乗ることが残すこと」
「住民みんなでバスに乗り、10年先、20年先を見据えて路線を残していこうと頑張っています」とは、「明星レインボウバス運営委員会」副委員長の森本重和さん。
「坂がきつい地域なのでバスは不可欠。もともと通っていた路線バスが一度休止になる予定でしたが、住民が声を上げたおかげで運行を継続させることができました。『平成30年地域公共交通優良団体国土交通大臣賞』も受賞。現在はコロナ禍の厳しい状況の中、1世帯月200円を出し合って頑張っています」
通勤・通学の時間帯を中心に、1日12往復。明星町からJR「宇治」駅などを経由し、宇治文化センターまでの間を走っています。
長岡京はっぴぃバス
マスコットキャラクター「はっぴぃちゃん」が目印。地域の住民のお出かけを支えている「長岡京はっぴぃバス」。利用者の約8割が高齢者で、通院や買い物のために乗る人が半数を占めるそう。
コースはJR「長岡京」駅からうぐいす台、栗生、滝ノ町などを回る「北コース」と、同駅から梅が丘、高台西、河陽が丘などに向かう「西コース」の二つ。利用者からは「家からバス停までが近くて便利」との声も。利用者同士で仲良くなるなど、地域交流の場にもなっているようです。
2022年6月に市内の基幹病院が市南部に移転するため、ルートの見直しを予定。運行ルートは3コースに増え、乗り換えなしで移転後の病院に行けるルートを検討中とのこと。
(2021年9月11日号より)
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