<大人タノシ>Special interview 俳優 高畑淳子さん

2021年8月20日 

リビング編集部

撮影/桂伸也 取材・文/あさかよしこ


9月に大阪松竹座で上演される、「喜劇 老後の資金がありません」。高畑淳子さんは、舞台初共演の渡辺えりさんとダブル主演を務めます。

「今日行く稽古場があることに感謝しつつ これからも舞台に立ち続けたい」

超高齢社会の今、「喜劇 老後の資金がありません」は、多くの人が直面するシリアスな題材を、喜劇仕立てにした作品です。

「渡辺えりさんが扮(ふん)するのは、人が良くてボンボン育ちの夫の手前、つい見えを張ってしまうような女性。私は、夫と二人でパン屋さんを営む堅実な女性。この二人の主婦が、老後を前にそれぞれに、のっぴきならないお金の問題を抱えてしまうお話です。えりさんとは舞台初共演ですが、劇中に右往左往する姿はかわいらしくて、ホントに楽しいお芝居です」と、高畑さん。自身は若手の共演者と一緒にキレッキレのダンスやラップにも挑戦。痛快な舞台になりそうです。

高畑さんは、多くの著名な演劇人が学んだ、桐朋学園短期大学を卒業後、劇団青年座に入団しましたが、思うような役柄には恵まれず、30歳を前に、俳優業をあきらめかけていました。そのとき、舞台俳優の加藤健一さんが「もっと芝居を楽しもうよ」と誘ってくれたのが、二人芝居「セイムタイム・ネクストイヤー」でした。

「99・9%、ターニングポイントとなった作品ですね。とにかく楽しかった」。そこから、高畑さんは大きく羽ばたきます。

「66歳になった今思うのは、『人として一番幸せなのは、自由に楽しくおしゃべりができる、仲間と場所に恵まれること』だと思うんです。私にとって、それは稽古場。『今日行く稽古場がある』という、この幸せに感謝しつつ、これからも、年に一度はいい舞台に出たいと思いますね」

■ profile ■
香川県出身。1976年劇団青年座に入団。舞台「もとの黙阿弥」「雪まろげ」、映画「お終活」「女たち」、ドラマ「真田丸」「なつぞら」「黒革の手帖」などに出演、幅広いジャンルで活躍。紫綬褒章ほか多数受章

「喜劇 老後の資金がありません」

大阪での制作発表会見

「喜劇 老後の資金がありません」は9月1日(水)~15日(水)大阪松竹座にて公演。出演・渡辺えり、高畑淳子、原嘉孝、松本幸大(ジャニーズJr.)、宇梶剛士、羽場裕一ほか。一等席(1万2000円)、二等席(7000円)、三等席(4000円)。
問い合わせは、チケットホン松竹=TEL:0570(000)489

(2021年8月21日号「大人タノシ」より)