プロ直伝! 夏休みにトライしたい子どもの好き探し

2021年7月23日 

リビング編集部

長い夏休みは新しいことに挑戦するチャンス。そこで京都で活動するさまざまなジャンルのプロに、子どもの興味を引き出す〝初心者向けの体験〟を教えてもらいました。これをきっかけに将来の夢が見つかるかも? 大人のあなたも試してみては。

撮影/桂伸也ほか、漫画/オカモトチアキ、イラスト/フジ—

漫画を描く

楽しいと思うことを4コマの中に表現

4コマ漫画

猫と会話するなど、現実ではありえないことがかなうのも醍醐(だいご)味です

空想やお絵描きは、「漫画を描くのが好き」につながるかも。

「最初は好きな漫画を模写するなど、絵を描くことを楽しんで」と教えてくれたのは、漫画家の細井雄二さんです。

「慣れたらキャラクターを動かし、会話させて話を作ってみましょう。まずは起承転結をつけやすい4コマから。日本の漫画は上から下、右から左へ読んでいくので、四角い枠を縦に四つ並べ、その中に絵とセリフを描きます。もし自分とペットが話せたら?など自由に想像して。楽しいと思うことをテーマにするのが大切です。絵日記風でもいいですね」

また、完成した作品を身近な人に読んでもらうことも大切なのだとか。

「子どもが漫画を見せてくれたら、親はうまい下手ではなく感想を伝え、褒めてあげて。その経験が、もっと上達したい!楽しい!というやる気につながります」

漫画では音や雰囲気を書き文字で視覚的に表現

教えてくれたのは

漫画家/京都芸術大学マンガ学科教授
細井雄二さん
https://www.kyoto-art.ac.jp/

料理を作る

簡単な準備と調理で作る楽しさを共有

豆腐白玉のフルーツポンチ

子どものための料理教室を主催する平田早紀子さんが教えてくれたのは、豆腐で作る白玉団子のフルーツポンチ。ひんやり冷たく、もちふわ食感です。

「豆腐の水分で作るので生地の軟らかさの調整がしやすく、失敗しにくいですよ」と平田さん。

「団子をこねる作業は子どもにも人気。豆腐を手でつぶす体験はなかなかないので、ぐにゅっとした生地の感触も楽しめると思います」

豆腐白玉はさまざまなスイーツにアレンジ可能。飾り付けが好きな子どもにはパフェ作り体験もおすすめだとか。

「料理を教えるのは食材の準備やけがの心配など、親のハードルも高くなりがち。最初からきっちり一品作る必要はないので、缶詰などを活用して、まずは料理の楽しさを伝えてあげてください」

材料(作りやすい量、写真は1人分)

  • 絹ごし豆腐…50g
  • 白玉粉…50g
  • ミックスフルーツ缶…1缶(190g)
  • キウイフルーツ…1個分(いちょう切り)
  • サイダー…100cc
  • 氷水…適量

作り方

  1. ボウルに豆腐と白玉粉を入れ混ぜ、耳たぶくらいの硬さまでこねる。生地がまとまらない場合は、豆腐や水を少しずつ足す(分量外)
  2. ❶をいくつかに分け、丸めて団子を作る。薄く伸ばして型でくり抜いてもOK
直径1.5cmほどの大きさに丸め、真ん中をくぼませるのがコツ
  1. ❷を鍋でゆでる。団子が浮き上がってから1〜2分後に取り出し、氷水にさらして冷やす
  2. 缶詰をシロップごと大きめの深皿に移す。果物は小さくカットしておく
  3. ❹に水を切った団子とキウイを入れ、冷やしたサイダーを注いで軽く混ぜる
  4. 器に盛り付ける

教えてくれたのは

京都こどもクッキング/管理栄養士
平田早紀子さん
https://sites.google.com/view/kyotokodomocook

音を感じる

身の周りの音を絵や記号にしてみよう

ある音を聞くだけで、景色や匂いなども一緒に思い出した経験はありませんか?

「音に形はないですが、無意識に深く残ります。意識して周りの音を聞くことで、感性が磨かれて歌や楽曲作りの下地にもなります」と教えてくれたのは、環境音楽家の小松正史さんです。

「子どもの周りには音楽やさまざまな音があります。夏休みの時間を使って、一緒にサウンドマップを作ってみては。聞こえてくる音を絵にしてみると、その音に対してどんな印象を持っているのかわかります」

同じ場所で同じ音を聞いても、人によって違うマップが出来上がるそう。「描き方に正解はないので、見せ合って楽しんで」と小松さん。

「近年は音を風景として捉える〝音風景〟という言葉もあります。大人でも絵や風景を詠む俳句など、創作活動の表現にも生かせるかもしれませんね」

サウンドマップ(音の地図)

作り方

  1. 紙の真ん中に●(自分がいる位置)を書き込む
  2. 周りの音をじっくり聞く
  3. 自分を中心に、前後左右から聞こえてきた位置や方向に合わせて、音のイメージを自分なりの記号や絵、文字などで紙に記録する

まちを歩いて音に耳をすませてみよう

「私たちの周りにはどんな音があるのか、散歩がてら探してみるのもおすすめです」と小松さん。さっそく、記者も音を探してみました。

教えてくれたのは

環境音楽家/京都精華大学メディア表現学部(音楽表現専攻)教授
小松正史さん
http://www.nekomatsu.net

ゲームを作る

ルールを考えワードゲームを完成させよう

おうち時間の増加で人気急上昇中のボードゲーム。京都でボードゲームの企画・制作を行う「タンサン」の代表・朝戸一聖さんによると、最近は文字を組み合わせてことばを作ったり、ヒントをもとに単語を当てる「ワードゲーム」がはやっているそう。

タンサンが携わったワードゲームの一部

「ゲーム作りに大切なのはルールの設定です。もしカードに書かれている単語を当ててもらうゲームを作るとしたら、色や形、ジェスチャーなどで、相手にヒントを伝える必要があります。その中で伝える方法を一つだけに絞ると、それがゲームのルールになります」

ルールを考えるときは実際に遊んでみるのが大切なのだとか。

「難しすぎても簡単すぎてもゲームがつまらなくなるので、子どもたちといろんなルールを試して、遊んだ感想を伝え合って。一番面白いルールを探してみましょう」

ワードゲーム作り

単語(お題)が書かれた山札(※)から親役がカードを1枚引き、ヒントを伝えてほかの参加者(子役)に当ててもらうゲームを作ります。2人以上で行います
※カードゲームで、場に積んでおく札のこと

手順

  1. 紙をカードサイズに切り分け、好きな単語(お題)を一つずつ書き込む。枚数は自由
  1. 1人が今回のヒントのルールを決める
    (例)単語を色だけで伝える、ジェスチャーで伝える、似た音で伝える、単語から連想するもので伝えるなど
  2. 単語が書いてある面を伏せた山札から、親役がカードを1枚引く。カードに書かれた単語のヒントを伝える。子役はヒントをもとにその単語を予想し、回答する。当たったら親役に得点をつける
  3. 親役を交代し、人数分❸を繰り返す。最後に得点が多かった人が勝ちとなる
  4. 親役が1周したら❷に戻り、次の人が別のルールを決め、再び❸❹を行う
  5. 全員がプレーし終えたら、遊んだ感想を伝え合い、一番面白かったルールを決める

教えてくれたのは

タンサン 代表
朝戸一聖さん
https://www.tansan.co/

ヘアアレンジ

〝くるりんぱ〟でお団子ヘアに挑戦

ハーフお団子

毎日の子どものヘアアレンジに悩む人も多いのでは。京都理容美容専修学校で教える矢野江梨花さんが、子ども一人でもできるアレンジを教えてくれましたよ。

「髪が短くてもできるハーフお団子は、頭の高い位置で作ると活発な印象に。自分で髪を結ぶなら〝くるりんぱ〟というアレンジが簡単です。

始める前は髪をといておきましょう。子どもは髪が細く柔らかいので、少し水でぬらしてあげると結びやすい場合も。また、最近のはやりはゆるっとした無造作ヘア。結んだ後に頭部の髪を指でつまみ、数カ所引っ張ってほぐすと自然な仕上がりになりますよ」

大人の場合、お団子の位置を低くすると落ち着いた雰囲気になるそう。

「子どもに髪をアレンジしてもらってもいいですね。親子でおそろいヘアに挑戦してみては」

手順

  1. 耳の上あたりから後ろにかけて髪を分け取り、頭頂部のやや下あたりで、ゴムで結ぶ
  1. ❶の結び目のこぶしひとつ分下をゴムで結ぶ。ゴムとゴムの間の髪を半分に割り、すきまに下の毛束を巻き入れて〝くるりんぱ〟。髪が長い場合は、下側のゴムを下にずらし、くるりんぱを2〜3回繰り返す
  1. ❷の毛束を指でつまんで引っ張り、数カ所ほぐす
  1. ❸を結び目に巻きつけてお団子を作り、飾りのゴムやシュシュで固定する

動画でも手順を紹介しています

教えてくれたのは

京都理容美容専修学校 美容科主任
矢野江梨花さん
https://www.kyori.ac.jp/

(2021年7月24日号より)