「まだ遠方には行きづらいから、近場でリフレッシュしたい」。そんな人におすすめの〝マイクロツーリズム〟。地元京都を楽しむためのポイントをプロに聞きました。
イラスト/フジー
マイクロツーリズムとは?
自宅から車で1、2時間圏内の〝小さな旅行〟のこと。長距離移動を控える旅のスタイルとして昨年から注目されるように。この機に地元を巡り、「そのよさを改めて感じた」という人も多いようです。
そこで今回は地元のツアー会社3社にマイクロツーリズムのポイントについてインタビュー。それぞれの楽しみ方を参考に、京都の魅力を再発見してみては。旅の計画に役立つウェブサイトも紹介。
POINT1屋外でのびのびと自然の美を楽しむ
「昨年から人気なのは、屋外で自然を楽しむ旅です」。そう話すのは、「リビングツアー」をはじめ府内外の日帰りバスツアーを多数催行している「アローズ」の堀就介さん。
「大原、嵐山などの散策のほか、夏なら美山の由良川で川遊び、秋なら亀岡の『夢コスモス園』などもきれいですよ。有名なところも改めて訪れてみれば、ふるさとの美しさをしみじみと感じられます」
近郊にはバスツアーが便利。「電車では行きにくいところもバスなら乗り換えなし。荷物やお土産がたくさんあっても移動が楽ですね。運転の必要がないので、例えば天橋立のワイナリー見学など試飲を楽しみたいときにもぴったりです」
近場の温泉へ家族で
旅といえば〝食事と温泉〟、という人には、「貴船や湯の花温泉がおすすめ。近すぎて行ったことがないという府民も多いようです」。移動が少ないので高齢の家族も同行しやすそうですね。
\教えてくれたのは/
アローズ
堀 就介 さん
中京区蛸薬師通高倉西入ル泉正寺町334 日昇ビル3階
https://www.kyotoliving.co.jp/tour/
POINT2〝昔ながら〟に改めて触れる
観光スポットとして人気の京都の神社仏閣ですが、「今は、地元に根差した本来の姿が見られるチャンス」。教えてくれたのは、京都散策ツアーや京町家でのイベントなどを開催している「らくたび」の若村亮さんです。
「海外からの観光客が少なくなり、近隣の人が通りがかりに手を合わせていくといった昔ながらの信仰の風景も見られるように。古くから京都を守ってきた寺社ということを改めて感じられますよ」。特に早朝や夕方がおすすめとのこと。
寺院には名庭も多いですが、「眺めるならぜひ部屋の中に座って。庭園はそもそも部屋からの視線を計算して造られたもの。混み合っていなければ、一幅の絵画のような美しさをじっくり堪能できます」。
伝統技術を体験
清水焼や京友禅、和菓子作りなど京都の伝統技術を体験してみても。
「知識だけではなくそのすばらしさが実感でき、親しみもわいてきます。親子で参加すればよい思い出に」
\教えてくれたのは/
らくたび
若村 亮 さん
中京区蛸薬師通高倉西入ル泉正寺町333
http://rakutabi.com/
POINT3視点を変えて街を歩いてみる
京都の住民がガイドするディープなツアーが人気の「まいまい京都」。スタッフの柏原卓之さんは、「京都は歩いてこそ面白さがわかる」といいます。
「屋根の上を見ればバラエティー豊かな〝鍾馗(しょうき)さん〟が。外壁に珍しいタイル装飾があったり、凝った格子窓を備えた家も多数。また、電信柱や古い住所看板の中には昔の地名が残っていて、街の歴史をたどるきっかけにも。視点を変えて歩くだけで新たな発見があり、街が輝いて見えてきますよ」
散策で出会う人には気軽に話しかけているそう。「住んでいる人しか知らない情報を教えてもらえることもあり、〝旅〟がより思い出深いものになります」
街の情報スポット
柏原さんは街を初めて訪れるとき、「古くからある喫茶店」「商店街」「銭湯」の三つに行ってみるのだとか。
「地元住民がよく利用するポイントだから、ガイドブックよりもリアルな情報に触れられます。ぜひ試してみて」
\教えてくれたのは/
まいまい京都
柏原 卓之 さん
右京区太秦中山町29 京都ユースホステル協会内
https://www.maimai-kyoto.jp/
読者も京都を楽しんでいます!
京都府内でマイクロツーリズムを楽しんだ読者に感想を聞きました。
- 日帰りで京都北部へ
- 舞鶴市では赤レンガ倉庫を見て、海軍カレーや海軍ソーダなどの名物も堪能。福知山では お城の見学や新鮮な海鮮料理を満喫。日帰りでも余裕で行けるのがいいですね。 (HMさん)
- 温泉と亀岡牛を満喫
- 近すぎて泊まったことがなかった湯の花温泉へ。亀岡牛や福知山の地酒が本当においしくて、地元産のよさを大発見した旅行でした。(NKさん)
- ふるさとの景色に感激
- 車で宇治周辺をドライブし、茶畑が広がる景色に感動。観光客が多くて避けていた「伏見稲荷大社」にも行き、念願の千本鳥居が見られました。(IYさん)
- 市内の商店街巡り
- ウオーキングを兼ねて京都で一番長いといわれる新大宮商店街、三条会商店街などを巡り歩きました。個性的な店との出合いや店員さんとの会話も楽しかったです。(KFさん)
- 近場でホテルステイ
- ホテルの開業ラッシュが続く市内。週末はホテルステイという新しい旅の楽しみ方を発見しました。(KAさん)
旅の計画の参考に 府内の観光情報はウェブサイトでも
京都府、京都市の観光情報を紹介するウェブサイトでは、コロナ禍に対応したコンテンツを更新中。府内で楽しめるアウトドアやイベントなど、マイクロツーリズムにぴったりの情報が満載です。また、大手旅行会社では京都府民限定のお得なプランを掲載しているところも。各社ホームページで検索してみて。
京都府観光ガイド -京都府観光連盟公式サイト-
https://www.kyoto-kankou.or.jp/
アウトドア志向の高まりを受け、府全域のキャンプ場やアクティビティーなどを紹介した「野外活動施設ガイドマップ」も掲載中
京都観光Navi –京都観光オフィシャルサイト–
事前予約で参加できる体験プランのほか、京都の自然や歴史を巡る「京都一周トレイル®」、「京都自転車観光ガイド」などの特集ページも
とっておきの京都プロジェクト
https://totteoki.kyoto.travel/
京都市観光協会が地域や民間事業者と連携し、市内の穴場スポット(伏見、大原、高雄、山科、西京、京北)での体験プランなどを紹介
じも旅京都
京都府旅行業協同組合に属する府内の中小旅行会社が、地元ならではの「京都の深堀りツアー」を提案。サイトからの申し込みも可能です
(2021年7月3日号より)
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