新作舞台で主演を務める 俳優・藤山直美さん

2021年6月16日 

リビング編集部

撮影/井川由香 取材・文/あさかよしこ


新作の舞台「おあきと春団治~お姉ちゃんにまかしとき~」で主演をつとめる藤山直美さん。製作発表の席で、今の気持ちを聞きました。

「いまだに舞台に立つのが怖いと思う時も。これからも努力を積み重ねていきたい」

藤山直美さんが出演する久々の新作は、上方落語の爆笑王・桂春団治と、その破天荒な人生を支え続けた姉・おあきの物語。

製作発表の席で、桂春団治役の西川忠志さんと、父親役の西川きよしさんらと並んだ、直美さんの第一声は「こんにちは。西川ヘレンでございます(笑)」。会場に大きな笑いが広がり、ゆったりと緊張がほどけていきます。

「桂春団治の、女性をめぐる艶っぽいお話を描いた作品は、たくさんありましたが、以前から、お姉さんの〝おあき〟役もいいなあと思っていたんです。私は、女きょうだいの中で育ちましたので、同性ではない〝姉弟〟という間柄に、すごく興味がありました」

上方喜劇を代表する藤山寛美の三女として生まれ、父親から受け継いだ喜劇の奥深さと、彼女独特のセンスにより、多くの作品でその魅力を披露し続けてきた直美さん。共演者からは「舞台ではパワフルながら、皆への気遣いがとてもこまやかな人」との声も。

これまでに思いがけない大病や、多くの試練を経験してきた彼女に、今だからこその芝居との向き合い方、今だからこそ見つかった人生の楽しみを尋ねると―。

「私は今62歳になりました。サラリーマンなら定年退職している年齢なんですが、この世界では、まだまだはな垂れ小僧。舞台と向かい合うのは、今でも怖くて不安なんです。でも、芝居は大好きです。こうして、役者としての努力を積み重ねていく中で、人生の楽しみも見つけていきたいと思います」

■ profile ■
京都市出身。1963年、ミュージカル「見上げてごらん夜の星を」で初舞台。代表作に「桂春団治」「喜劇 道頓堀ものがたり」「おもろい女」「笑う門には福来たる~女興行師吉本せい〜」など多数

「おあきと春団治~お姉ちゃんにまかしとき~」

大阪での製作発表会見

共演・西川忠志、金子昇、田村亮、西川きよし(特別出演)ほか。5月21日から大阪松竹座で公演予定でしたが、社会情勢を鑑みて中止に。7月3日(土)〜26日(月)、東京・新橋演舞場で公演。
問い合わせは、チケットホン松竹=TEL:0570(000)489=へ

(2021年5月22日号「大人タノシ」より)