観光客ではなく、京都に住み暮らしている外国籍の人々。彼らとのコミュニケーションツールとして、〝やさしい日本語〟を広めようと活動をしている人たちを取材しました。
京都市に在住している外国人の数を知っていますか。正解は約4万5000人、市民の約3%が外国籍の人ということに。そんな在留外国人がより暮らしやすくなるようにと京都で活動しているのが、「『やさしい日本語』を広める会」です。もともと別の外国人支援団体に属していた3人が、日本語でのコミュニケーションを広めることに特化した活動を行うべく昨年結成しました。
「英語より、簡単な日本語の方が分かる在留外国人は多いんです」とは、代表の宮島みどりさん。英語は苦手だから、と外国人と話すのを避ける人もいますが、京都の在留外国人は英語圏以外の出身者も多数。「彼らは日本語を日々勉強中です。しかし、中には『日本語で話しかけたのに英語で返された』といった声も。まずは〝やさしい日本語”で話してみて、通じなければ翻訳アプリなど別の方法を考えてみてくださいね」
病院や行政の窓口、学校生活、災害時などにおいては、「日本語が難しくて理解に困った」という事例も多いとのこと。「どんな日本語が〝やさしい〟のか、ポイントを押さえれば日常のシーンでも応用できますよ」
伝えたい、という気持ちが大切
日常会話を〝やさしい日本語〟に言い換えるポイント
- 難しい単語・熟語
- 発熱 ➡ いつもより高い熱が出る
- 尊敬語・謙譲語
- ご覧ください ➡ 見てください
- 地元言葉
- ほかします ➡ 捨てます
- カタカナ語(和製英語)
- タオルケット ➡ ブランケット
- 擬音語・擬態語
- わくわく ➡ 楽しい
すくすく ➡ 元気に
- 不要な情報は省き、
必要な情報を加え丁寧に説明 - 「救急車」➡「病院へ行く車。病気やケガをした人を運びます。お金はいりません。119へ電話してください」
「〝やさしい日本語〟とは、外国人はもちろん子どもや高齢者など誰にとってもわかりやすい日本語のこと。はっきり(ゆっくり)言う、最後まで言う、短く言う、という『はさみの法則』が基本です」と宮島さん。「尊敬語、謙譲語や難しい単語・熟語などは言い換えを。例えば『土足厳禁』は『ここでくつをぬいでください』にするなど。また、不要な情報はカットし、必要な情報を加えることも重要です」(表参照)。「ざあざあ」「ぽかぽか」のような擬音語・擬態語や、「〜しはる」「あらへん」といった地元言葉も理解の妨げになるので避けた方がよいそう。
「言葉だけではなく身ぶり・手ぶりを加えたり絵や写真を見せたり、相手の言語を交ぜてもかまいません。とにかく、相手に何とか伝えたいと思う気持ちが大切です」
同会では昨年、外国籍の子どもが多く通う保育施設において、〝やさしい日本語〟を学ぶワークショップを実施。参加した職員からは、「外国籍の保護者とコミュニケーションが取りやすくなった」「英語を話さなくてもいいとわかって気が楽になった」などの感想が。
「今後も社会情勢を見つつ、外国人と多く接する職場を対象にワークショップを開催していきたいと思います」。現在は在留外国人たちに聞き取りを行い、〝言葉で困ったこと〟の事例を収集中とのこと。同時に、彼らと職場で接する地元の人たちへのヒアリングも。
「普段日本人と話す機会が少ないという在留外国人も多数。話すことで日本語が上達し、より生活しやすくなります。周囲の人たちは、やさしい日本語を使って積極的にコミュニケーションを図ってもらえれば」
同会の活動の詳細はフェイスブック(https://www.facebook.com/hiromerukai)でチェックを。問い合わせは代表メール=hiromeru.yasanichi@gmail.comへ。
(2021年6月12日号より)
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