ゴールデンウイークに挑戦 おうちでサイエンス

2021年4月23日 

リビング編集部

不思議な自然現象や、物が動く仕組み…。今年のゴールデンウイークは、科学の世界へ! 京都市青少年科学センターに五つの実験や工作を教えてもらいました。材料はホームセンターなどで手に入るので、家でチャレンジしてみて。

※小学生以下の子は、必ず大人と一緒に実験を
撮影/山﨑晃治ほか イラスト/オカモトチアキ

雪の結晶づくり

写真は黒田さん提供

塩の効果で氷が溶けるスピードがアップ

「雪の結晶は、氷点下で空気中の水蒸気がちりなどを核にして集まり、それが急に冷やされることでできます。氷と塩を使ってその現象を再現してみましょう」とは、京都市青少年科学センター化学領域 指導主事(取材時)の黒田隆文さん。

「塩と氷が触れ合うと、氷の溶けるスピードが速くなります。氷に塩を乗せることで氷は速く溶け、周囲の水蒸気を急速に冷やします」

湿度や温度によって、六角形や花のような形など、さまざまな雪の結晶ができますよ。

用意するもの

  • 空き缶(高さ2〜3cm程度のツナ缶など)6個
  • プリンカップ6個
  • 厚さ2〜3mm程度の黒いゴム板(ゴム製印鑑マットでも可)
  • はさみ
  • 網戸用の網
  • 透明のプラ下敷き
  • 化粧ブラシ(絵筆でも可)
  • ベビーパウダー
  • 発泡スチロールの箱(40cm×30cm×20cm程度)

\ START /

空き缶6個に水を入れ、各小さじ1杯の塩を加えて塩水を作り、凍らせる。プリンカップ6個に7割ほど水を注ぎ、凍らせておく

ゴム板をはさみで3cm×3cmの正方形に、網をプリンカップの口より少し小さい円形に、それぞれカット。各6枚ずつ用意する。透明の下敷きはプリンカップの口より少し大きい円形に切る

6枚のゴム板を並べて、その上でベビーパウダーを付けた化粧ブラシに息を吹いて粉を振りかける。※少量が薄く付く程度でOK。多すぎると結晶ができにくいので注意

①のプリンカップの氷の上に塩(カップ1個につき小さじ1)を乗せ、指で平らに広げる

④の上に②の網を乗せ、その上に③の粉つきのゴム板を乗せる

空き缶を⑤の上に隙間ができないようぴったり乗せる

④〜⑥を繰り返して同じものを6個つくり、発泡スチロールの箱に入れてしっかりふたをする

30〜40分後、雪の結晶(約1〜3mm)の出来上がり! プリンカップを取り出す。缶を取る際には、温度が下がらないよう、②で円形に切った下敷きをカップに素早くかぶせ、下敷き越しに雪の結晶を観察する


アクリル絵の具でマーブリング

水の表面張力で絵の具がマーブル模様に

赤や黄、緑などの絵の具が広がる水面を竹串で動かすと…、美しいマーブル模様に!

「水の〝表面張力〟と洗剤の主成分である界面活性剤の性質を利用した実験です」と、黒田さん。

「水の表面張力とは、水の一番小さな粒(分子)が互いに引っ張り合い、小さくまとまろうとする力です。一方、界面活性剤には水の表面張力を弱める作用があるため、絵の具が外側に引っ張られて独特の曲線模様が生まれるんです」

用意するもの

  • 絵の具用容器(食品のカップなど)
  • アクリル絵の具(黒色と、好みの色2〜3種)
  • 台所用洗剤
  • 割りばし
  • 食品トレー
  • 竹串(つまようじでも可)
  • 小さく切った半紙
  • 新聞紙

\ START /

容器に黒色の絵の具を少量(アズキ大)出す。洗剤1滴を絵の具に入れて割りばしで混ぜ、マーブリング液を作る

トレーに水を入れる

割りばしの先に①をつけてゆっくりと②の水面に触れ、液が広がるのを待つ。色がつく程度まで3〜4回繰り返す

好きな色の絵の具を竹串の先につけ、③の水面に触れる。絵の具が水面に広がったら、竹串で軽く水面を動かしてマーブル模様を作る

半紙を水面に浮かべてマーブル模様を写す。破れないように引き上げ、新聞紙の上で乾かす

<教えてくれたのは>
黒田隆文さん(現修学院中学校教諭)
(雪の結晶づくり・アクリル絵の具でマーブリング)


石を磨いてピカピカに

表面が平らになると石の模様がはっきり

川や海岸の〝石〟は、その地域の土地を構成する岩石によって種類が変わります。「例えば京都市内を流れる川でよく見るのは、砂が固まった砂岩や、主に生き物の殻が集まって固まったチャートなどですね」とは、同センター地学領域 指導主事の中井祥平さん。

「石の表面はでこぼこしていますが、磨いて平面にすると色や模様が分かりやすくなりますよ。反射によって光沢も出て、ピカピカに。置いた紙やすりに石をこすりつけると力が入りやすいので、根気よく磨いてみましょう」

用意するもの

  • 耐水性紙やすりセット(5種類程度の幅広い粗さが入ったもの。例/#240、#400、#800、#1200、#2000)
  • 水を入れる容器
  • タオル
  • ティッシュペーパー
  • 歯磨き粉(粒が入っていないもの)

\ START /

最も粗い紙やすり(やすりの番号が一番小さいもの)をカットし、水に濡らしながらタオルの上で約6分間、石の一部分を磨く

だんだんと細かい目のやすりに変えていき、すべてのやすりで①を繰り返す

ティッシュペーパーに歯磨き粉をつけ、水をつけずに約6分間磨く

<教えてくれたのは>
中井祥平さん
(石を磨いてピカピカに)


植物を光らせよう

紫外線を当てると…、茶葉の瓶が鮮やかな赤色に

身の回りにはブラックライト(紫外線)を当てると蛍光色になるものが。

「例えば緑色の葉や藻、貝殻などです」と、同センター生物領域 主任主事の今邑(いまむら)宏樹さん。エタノールにつけた紅茶や緑茶を入れた瓶は、茶葉に含まれる〝葉緑素〟が反応し、蛍光レッドに光ります。

「葉緑素はエタノールに溶けだしやすく、水には溶けにくいです。飲み物の緑茶や紅茶でも試してみて。麦茶とコーヒーの瓶はポリフェノールが反応して黄緑色または黄色っぽくなるかと思います」

用意するもの

  • 紅茶の茶葉
  • 緑茶の茶葉
  • 麦茶(パックの中身でOK)
  • コーヒー豆(ひいて粉にしたもの)
  • ガラス瓶4本(なるべく小さいもの)
  • エタノール入り消毒液(エタノール濃度56%以上のものがおすすめ)
  • 釣り用ブラックライト(100円ショップのブラックライト付きペンも可)

\ START /

紅茶、緑茶、麦茶、コーヒーをそれぞれガラス瓶に少量ずつ入れる。ガラス瓶に消毒液を注ぎ、5〜10分ほど置く

①にブラックライトを当てる。部屋の電気を消すとより見やすい。反応が弱い場合はさらに数十分置いてから再度試す。写真は左から紅茶、緑茶、麦茶、コーヒー

そのほかシソなどにブラックライトを当ててみても

※ライトを目や皮膚に向けたり、長時間見続けたりしないよう注意

<教えてくれたのは>
今邑宏樹さん
(植物を光らせよう)


浮かんで走るグランドグライダー

〝浮く力〟が生まれてより遠くまで進みます

手を離した瞬間、浮かんで走っていくグランドグライダー。作り方を、同センター物理領域 主任主事の辻礼史さんが教えてくれました。

「グランドグライダーが進むと、機体の上下に前から空気が流れ込みます。すると、〝揚力(ようりょく)〟という力が生まれ、機体が浮かび遠くまで進むんです」

地面や水面近くを飛ぶ機体は、高く飛ぶときに比べ大きな揚力を得ます。これを「表面効果」と呼び、トビウオなどはこの効果をうまく利用しているのだとか。

用意するもの

  • 〈材料〉
  • 食品トレー
  • 厚紙(牛乳パックや空き箱も可)
  • ゼムクリップ
  • セロテープ
  • 輪ゴム
  • 養生テープ
  • 〈道具〉
  • 定規
  • 油性ペン
  • カッターナイフ
  • はさみ

\ START /

食品トレーに写真のような切り取り線を描き、線に沿ってカッターナイフで切って機体を作る

写真のサイズを目安に厚紙で垂直尾翼を作る。下辺から約1cmのところに点線aを引き、中央に縦線bを引く ※サイズや形は自由に変えてOK

②の縦線bに切れ目を入れ、点線aから下の部分をそれぞれ別方向に折り曲げる

機体の写真の箇所に②の点線aの長さの線を引き、カッターで切れ目を入れる

ゼムクリップの外側を起こすようにして垂直に曲げ、フックを作る

③を④の切れ目に差し込み、ウラ側で③の折り曲げた部分を左右に開く。⑤のフックを写真の位置に取り付ける。いずれもセロテープで留める

機体にゼムクリップを2個付けて重さを調整する

広い部屋や廊下の平らな床に輪ゴムを取り付ける。養生テープでしっかり固定する

フックに輪ゴムを引っ掛け手前に引き、手を離して発射する。機体が裏返る場合は⑦のように重りのゼムクリップを増やす

<教えてくれたのは>
辻礼史(よしふみ)さん
(浮かんで走るグランドグライダー)

(2021年4月24日号より)