【コレ読んで!】きのうのオレンジ

2020年11月27日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

きのうのオレンジ
藤岡陽子 集英社(1760円)

33歳で突然のがん宣告…家族への思いが募る物語

仕事も生活も順調に軌道に乗っていた。そんな平穏な時間の流れは、突然のがん宣告によって止められてしまう―。

まだ33歳。自分の体を病魔が蝕(むしば)んでいるという現実を受け入れられない、主人公の遼賀。改めて感じる家族の温かさに彼の心も変化していくものの、皮肉にもその生き生きとした時間は失われていく。
がん宣告を受けた主人公と、そんな彼を支える家族の物語。

読み進めると、初めの方に出てくる「おまえは大丈夫」という兄の言葉が、何よりも優しくて心強く感じる。
この物語をどう感じるかは読み手次第だが、私は少なくとも自分の家族のことを思った。

■本の紹介者
大垣書店四条店
小林素紀さん

https://www.books-ogaki.co.jp/

(2020年11月28日号より)