【コレ読んで!】チューリップの文化誌

2021年3月12日 

リビング編集部

京都の書店員やカフェ店主がおすすめの本を紹介。
すてきな一冊に出あえそう!

チューリップの文化誌
シーリア・フィッシャー/(訳)駒木令
原書房(2530円)

人々を魅了し影響を与えた春の花の歴史を読み解く

春が近づくと、店先や庭を愛らしく彩り始めるチューリップ。かつては中央アジアの山岳地帯に咲く名もなき花でした。

交易や争いの広がりとともにヨーロッパへと伝わる過程で、人々を魅了し法外な高値で売買されるほどの狂乱をも巻き起こすようになった歴史を、数多(あまた)付けられた美しいラテン語の種名を挙げながら読み解いた本書。
文化、宗教、政治と結びつき、多くの芸術家や権力者を惑わせ影響を与えたその盛衰を、中世の植物画や名画などカラー図版とともに紹介しています。

一時は富の象徴といわれ、所有することすら難しかったチューリップが身近な存在となるまでの、かぐわしい物語をお楽しみください。

■本の紹介者
マヤルカ古書店
なかむらあきこさん

http://mayaruka.com/

(2021年3月13日号より)