地元産のものを使った新商品など、地域にこだわった新しい名産品がたくさんあります。そんな京都府発の魅力ある商品を紹介。お取り寄せも可能なので、チェックしてみて。
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日本三景のひとつ、天橋立。その天橋立で宮津湾から仕切られた内海を、阿蘇海といいます。
「阿蘇海では環境の悪化が問題になっているんです」と話してくれたのは、地元の名菓を製造、販売する「吉野茶屋」の女将・平木志乃さん。
「養殖のカキが戦後は手入れされず、富栄養化によって自然に増加。死んだカキが悪臭を放ち、堆積した殻が景観を悪化させ、船底に傷を付けるなど、公害化していました。そこで5年前、大学生のボランティア団体がカキ殻を取る清掃活動を始めてくれたんです」
それ以来、阿蘇海の清掃は毎年、春と夏に実施。全国から100人以上の大学生が集まるそう。
「ボランティアに甘えるだけではなく、地元でも何かできないかと考えたのが3年前。阿蘇海で採れた天然カキを使って、商品をつくることに。
ただ、天然のカキ殻は身をむくのが難しいので、今まで採る人もいませんでした。でも身は大きくて濃厚。そこで、瓶や缶詰の加工品にしようと動き出しました」
加工や値段設定には、大学生の意見も参考にしたとか。完成したのが「食べるオイスター味噌・世屋」(1080円)や「牡蠣のアヒージョ」(1200円)など。殻は建材(白壁、ブロック)や、ワイナリー、オリーブ畑の肥料に。余すことなくカキが利用されています。
平木さんは他にも、市場には出回らないオリーブを加工した、「食べるオリーブオイル」(1296円)などを手掛けています。丹後地域の原材料を使い、新たな土産物をつくる。そんな活動が地域の活性化につながるとして、「第7回 京都府女性起業家賞(アントレプレナー賞)」の京都リビング新聞社賞を受賞しました。
「11年前、京都市内から宮津にお嫁に来て、5年前に女将になりました。観光業に携わるようになり、地元の農産物や海産物を使ったお土産がないことに気付いたんです。オリーブもカキもせっかく良いものがあるのだから、地元のものをもっと知ってもらいたいなと。ですが、この地域は兼業農家や漁師が多くて、みんな商売っ気がないんです(笑)。なので、『できる範囲で良いから』と原材料となる産物を提供してもらっています」
平木さんは、『ととちょく ひいらぎ庵』という丹後の鮮魚の加工、流通システムを立ち上げ、鮮魚や加工品を販売。
「無理なくとれた分だけ販売しています。カキも清掃分とは別に漁師さんに採ってもらっていますが、天候にどうしても左右される。でも、取れ高より旬を大事に考えて続けていきたいです」