「建築とは無関係な分野からデザインの発想を得ている想像力の豊かさ、ユニークさに驚かされました」と平尾さん。形木原広翔(かたぎはらひろと)くんが描いたのは、紫色のタワーから張り出した居室フロアのある家です。左側は「にわ」、右側の「ねぎおきば」はキャンプ道具の置き場所を想定したそう。
奇抜なデザインですが、「キャンチレバーなら実現できるかもしれません」と平尾さん。「キャンチレバーは、現代建築のひとつで、片側に張り出す構造方式。オランダでよく見られる建築スタイルです」
絵をもとに、実際のサイズを考えてみると「タワー部分に動線を設け、張り出したスペースが3フロア。フロア間は約2mとして全体の高さは概ね13m。5階建てのビルに相当する、住宅としては大きい建物になりますね」と平尾さん。「子どもの好みや夢が、大きな太陽、青く晴れた空のもとに投影されていて、感動しました」
村田依沙(いさ)さんは、母親と姉、兄の4人家族。この家は1階が母親、2階が自分、3階には将来の姉一家と兄一家のフロア。家族の仲がとても良いそうで、母親の光代さんは「大人になったら私が大きい家を買うから、みんなで一緒に暮らそうと話してくれています」と言います。
「テーマが明確で、迷いのない力強さが見てとれます」と中村さん。「この絵のポイントは『窓』。一見すると窓が小さく感じるかもしれませんが、『家が大きいので窓を小さめに表現した』ととることもできます」
また、「大きな勾配屋根の3階建て。2家族が暮らす予定の3階は、屋根裏のスペースも活用できそう。お母さんの老後を考えると、1階の割り当ては適切です」。
「2階に暮らす作者が、姉・兄の世帯と母親をつなぐ、家族の中心的な存在になるのではないでしょうか。家族の成長に合わせて家も変化します。明るい色調のこの家は、家族の変化を丸ごと受け止めてくれそうな、おおらかな家になりそうです」
教えてくれたのは
「リビング京都」特別編集京都でかなえる家づくり 2020年度版
京都リビング新聞社では、5月31日(日)に、「リビング京都」特別編集の住宅本「京都でかなえる家づくり2020年度版」を発行。地元・京都で活躍している工務店や設計事務所の情報が詰まっています。数々の施工例を掲載しているので、参考にしてみて。
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