店先にエンドウ豆が並んでいると、春を感じますね。今回は、エンドウ豆の奥深い世界にズームイン! さまざまな種類や栄養について紹介します。2面では、料理人にレシピを聞きました。爽やかな彩りを食卓にプラスしてみて。
サヤエンドウにスナップエンドウ、赤エンドウ…。さまざまな種類のエンドウ豆について教えてくれたのは、京都府立大学大学院教授の松井元子さん。「エンドウ豆は〝豆類〟と〝野菜類〟に分類されます」(松井さん)
完熟した実である「青エンドウ」と「赤エンドウ」は〝豆〟。
「青エンドウは甘納豆やフライビーンズなどに、赤エンドウはみつ豆やらくがんといったお菓子に使われます」
一方、未熟のサヤ、種子などを食用とするものは〝野菜〟です。〝豆〟を種として水耕栽培し、若い葉と茎を食べるのが「豆苗」、若いサヤごと味わえるのが「サヤエンドウ」。さらに成長した硬いサヤをむいた生の豆が「実(み)エンドウ」で、「グリーンピース」とも呼ばれます。関西で出回っている実エンドウは、品種改良された「ウスイエンドウ」が主流だとか。
「大阪の碓井(うすい)町で栽培されたことが由来で、現在の主な生産地は和歌山県です。豆ご飯に合うよう、グリーンピースと比べ皮は薄く、青臭さも少なくなるよう改良。手に入りにくい関東では、あまり豆ご飯を炊かないようですね」
そして、「スナップエンドウ」は、成長してもサヤが軟らかいまま食べられるように改良されたものだといいます。
グリーンピースやウスイエンドウは、使う直前にむくのが、おいしく食べるコツ。
「サヤの中では呼吸をしているので、豆の鮮度が保てます。空気中に出すと乾燥し、硬くなるのです」(松井さん)。せっかくの風味、損なうことなく楽しみましょう。
栄養面の特徴は、野菜でありながらも、良質なタンパク質が多いこと。
「糖質も豊富で、エネルギー源になります。整腸効果がある食物繊維もたっぷり。グリーンピース50gで成人女性の1日摂取目標量の約20%をカバーできますよ」
ビタミン類やカリウムなどのミネラルも多く含まれています。
例えば、サヤエンドウ50gを食べると、成人女性のビタミンCの1日摂取推奨量のうち約30%を取れるとのこと。豆苗、スナップエンドウもビタミンAやCがたくさん。特に豆苗は栄養豊富な野菜の代表として挙げられるホウレンソウに負けないそう。
春を告げる野菜としてはもちろん、栄養価の面からも上手に食卓に取り入れたいですね。
松井元子さん