春から夏にかけては、子どもの交通事故が増える時期。特に多いのが、小学1・2年生が事故に遭うケースです。今回は、子どもと大人の〝見え方〟の違いに注目! 車や自転車に乗る大人がどんなことに気をつけるべきかを考えてみました。子どもへの指導のポイントも紹介します。
撮影/桂伸也ほか 撮影協力/京都府警察本部
警察庁の統計によると、歩行中の交通事故での死傷者数は、小学1・2年生に当たる7歳が最多(2013年~2017年の5年間)。
京都府警察本部交通企画課 交通安全教育センターの橋本典子さんは、「近頃の子どもは、親と車などで移動することが多く、親子で歩く機会が少ないのではないかと思われます」と話します。
「まずは、1人で行動することが増える小学校入学に備えて、通学路はもちろん子どもの行動範囲内にある公園やコンビニまでの道を、親子で一緒に安全を確認しながら歩いてみましょう」
子どもの事故を防ぐために知っておきたいのが、子どもと大人の〝見え方〟の違い。
「子どもは大人より背が低く目線も低いため、目の前に停車中の車や看板などの障害物があると、その向こう側を通行する車や自転車が見えないことがあります。このような状況では、ドライバーからも子どもの姿が見えません」
横断歩道を渡り始める位置から、停車線で止まっている車の隣を別の車が走ってくる様子を撮影。
子どもの目線(約120cm)だと、隣の車線を走る車は停車中の車に隠れてしまい、確認できません
大人の目線(約160cm)では、走ってくる車をはっきりと確認できました
子どもと大人では、視野の広さも異なるそう。
「スウェーデンの児童心理学者・サンデルスが行った実験によると、大人の視野が水平方向で約150度、垂直方向で約120度なのに対し、6歳児の視野は水平方向で約90度、垂直方向で約70度。つまり、子どもは大人の6割程度の範囲しか見えていないのです。
車に乗る人も自転車に乗る人も、『子どもからはこちらが見えていないかもしれない』『障害物の陰には子どもがいるかもしれない』と考えて運転することが大切です」
通学路など、子どもがよく通る道路の安全性を、あらためて見直したいですね。
そのほか、商業施設の駐車場や自宅の駐車スペースも要注意スポットなのだとか。
「子どもが車のすぐ近くにいると、その姿が車窓から下の〝死角〟に入って運転席から見えないので、事故が起こりやすいのです。トラックなど車高の高い車では、さらに死角が広がります」
駐車・発進する際、ミラーに頼りすぎるのはNG。必ず目視で確認することが、事故を防ぐポイントだといいます。
子どもの目線(約120cm)で見た光景。停止線で止まっている車の左側を、自転車が通っていきますが、その姿はほとんど見えません
横断歩道の途中から大人の目の高さ(約160cm)で見ると、自転車に乗っている人の頭や上半身の一部を確認できます