教えてくれた人
子どもの行動の特性も知っておく必要があります。
「子どもは予測できない行動をとる場合があります。反対側の歩道に興味を引く対象を見つけると、安全確認を忘れて車道に飛び出してしまうこともあるのです」と橋本さん。
そんな子どもの特性を踏まえて気をつけたいことは?
「子どもがよく通る生活道路を車で走る際には、いつでも止まれるよう十分にスピードを落としましょう。自転車は通常は車道を通行しますが、歩道での通行が認められているところもあります。その場合も、歩行者を優先するのがルールです。車道側を走り、前方に歩行者がいたら、速度を落とすか自転車を降りて押して歩いてください」
教えてくれた人
子どもの発達心理を研究している同志社大学の内山伊知郎さん。子どもの認知発達の程度や思考の特徴について教えてもらいました。
「6、7歳の子どもの認知発達のレベルは、まだ発展途上。自己中心性が強く、自分の視点で物事を見る傾向があります。道路を歩くときも『自分の姿は車にも見えている』『自分が横断歩道を渡ろうとすれば、車は止まるはず』と考えがちです。
認知処理の範囲が狭く、主要な部分だけに注意が集中しがちなのも特徴です。例えば道路の向こう側から知っている人に声をかけられたら、交通ルールよりもその人のところに行く方が大事に。結果、赤信号を無視して車道に飛び出してしまうこともあります。
この年齢の子どもの発達レベルでは、言葉で注意するだけではなかなか効果がありません。赤信号で自然と足が止まるようになるまで、保護者が何度も一緒に実践するといいでしょう。大人の行動から影響を受けやすい時期なので、横断歩道では保護者が実際に顔を動かして周囲を確認するなど、見本を見せることも大切です」
事故を防ぐためには、子どもにルールや注意点を教えるのも重要。橋本さんに、交通安全のポイントを聞きました。「できれば入学前に、子どもと一緒に歩きながら確認する機会を複数回つくってください。入学後も引き続き声をかけましょう」(橋本さん)
子どもの事故の原因で最も多いのが〝飛び出し〟です。道路を渡るときや曲がり角、交差点では決して飛び出さず、必ずいったん止まる習慣をつけさせましょう。車やバイク、自転車が来ていないか、左右はもちろん前後も確認するように伝えてください。
停車中の車の前・後ろから道路を横断すると、走っている車から子どもの姿が見えないのはもちろん、子どもからも車が見えず、とても危険。その危険性を教えた上で、道路を渡るときは信号や横断歩道が近くにあれば遠回りでもそこから渡るように伝えましょう。
歩道または路側帯があるところでは、その中を歩き、歩道も路側帯もない道路では、右側を通行するのがルール。歩道では、自転車が通ることがあるため、できるだけ歩道の建物側を歩くこと、駐車場や店に出入りする車に気をつけることを教えましょう。
子どもはどの信号を見ればいいか分かっていない場合があるので、「どの信号を見ればいいのかな? 四角い信号? 丸い信号?」などと聞いてみてください。渡っていいのは青信号のときだけで、青になっても周囲を確認してから渡らなければいけないことを教えましょう。 また、車道の近くで信号を待つと、左折する車の後輪に巻き込まれる危険があります。車道から離れた場所で待つように教えることが大切です。
「危ないから気をつけて」という抽象的な言い方だと、子どもには理解できないことも。なぜ危ないのか、どう気をつければいいのか、具体的に説明することが大事です。