2020年の干支(えと)は〝ネズミ〟。「子、丑、寅、卯…」と続く十二支の始まりに当たります。そんな新たなスタートを切る一年、お正月には子年や十二支にちなんだ社寺へ初詣に行くのもいいですね。絵本やアート、言い伝えなど、さまざまなシーンに登場するネズミにも注目を。
巻物を持ちスッと背筋を伸ばすネズミと、玉を抱えるふっくらとしたネズミ。大豊神社で見られるのは、こま犬ならぬ珍しい〝こまネズミ〟です。
哲学の道近く、〝ねずみの社〟として知られる大豊神社。887年、宇多天皇の病気平癒を祈願して創建されたのが始まりだといいます。
こまネズミがあるのは境内奥の末社「大国社」。祭神は大国主命(おおくにぬしのみこと)です。なぜ〝こまネズミ〟なのか、その答えは大国主命とネズミのエピソードにあるようで…。
「大国主命が野原で火に囲まれ窮地に陥ったところを、ネズミが地下の空洞へ案内して助けたという古事記の神話に基づいています」とは、宮司の小林清人さん。神様の危機を救ったのがネズミだったのです。
「右のネズミが持つ巻物は学問を表しています。もう一方のネズミが抱えているのは万物の源である水玉。赤ちゃんを育んでいるともいわれていますね」
縁結びや学業成就、子宝祈願のために足を運ぶ人も多いそう。子年を迎える新年、一年間の幸せを祈願しに訪ねてみては。
■左京区鹿ケ谷宮ノ前町1(市バス「宮ノ前町」停から徒歩5分・「東天王町」停から徒歩10分)、TEL:075(771)1351。参拝自由
絵本やアートの世界でも活躍するネズミ。絵本専門店におすすめの〝ネズミの絵本〟を聞きました。子年ならではの展示も行われます。
どこを見てもネズミづくし! ネズミが表現された、さまざまな美術品が並びます。子年子月子日の行事を描いた「源氏物語」の「初音(はつね)」に関する作品も。
文/マーク・スペアリング
絵/ブリッタ・テッケントラップ
訳/三原泉
BL出版 1760円
「手と手をつなげば、ほーら、安心。みつめ合うネズミは親子でしょうか? 恋人同士? 大切な人と読みたい、幸せな気持ちになる美しい絵本。プレゼントにもぴったりです」
「絵本のこたち」・熊谷聡子さん
文/ミリアム・ノートン
絵/ガース・ウィリアムズ
訳/とたにようこ
徳間書店 1540円
「ネズミの家族に引き取られネズミとして育てられた子猫がいました。大きくなるにつれ兄弟と違うことに気付き始めた猫の運命はいかに⁉︎ 愛らしい絵とユーモアたっぷりのお話は大人も子どもも楽しめますよ」
「メリーゴーランドKYOTO」・鈴木潤さん