先が気になってページをめくる手がとまらない! そんな面白さから、ファンも多いミステリー小説。今回は、その魅力に迫ります。謎がひしめく世界の扉を開いてみましょう。
ひと口に〝ミステリー小説〟といっても、作品はさまざま。
社会的な問題や歴史的出来事が題材の作品、病院・法廷が舞台のもの…。キャラクターが人気のシリーズもありますね。探偵と謎を追ったり、始めから明かされている犯人の動機を探ったりするのも楽しみです。
まずは書店員や2面で登場する作家などがおすすめの本を紹介してくれました。読書の秋、気になるミステリーを手に取ってみては。
著/伊吹亜門 東京創元社 1870円
〝京都〟と〝ミステリー〟、好きなものを詰め込み、全力を注いだ作品です。謎に挑むのは、尾張出身の若き武士・鹿野師光と初代司法卿の江藤新平。幕末から明治における京都の光と影を味わってみてください。/伊吹亜門さん(2面で登場)
著/青崎有吾、天祢涼、乾くるみ、井上夢人、小森健太朗、白井智之、千澤のり子、貫井徳郎、遊井かなめ 南雲堂 1980円
テーマは〝平成〟。平成に起こったさまざまな事件や出来事を、9人のミステリー作家が描いたアンソロジーです。それぞれの物語が、平成の世相を映し出しています。/小森健太朗さん(2面で登場)
著/大山誠一郎 実業之日本社 1650円
時を戻すことができました―。時計店の女店主の決めぜりふでアリバイは崩れ、新米刑事が持ち込んだ事件はたちどころに解決。この言葉が出たら作者からの手掛かりはそろっています。読み進めるのもいいですが、自分でもぜひ推理に挑戦を。/SRの会(2面で登場)
著/秋吉理香子 双葉文庫 703円
主人公は一人娘がいる主婦。近隣で発生した幼稚園児殺人事件を知り、「わが子を守る」と誓います。真相はあまりに衝撃的過ぎて…。読み返して「あのときはこうだったのか!」と再び衝撃を受けました。「わが子のためなら何でもする」と考える母の愛情が深く、また恐ろしく感じました。/ジュンク堂書店 京都店・森田千絵さん
著/アンソニー・ホロヴィッツ、訳/山田蘭
創元推理文庫 各1100円
殺人事件の舞台は田舎のお屋敷、登場するのは〝いかにも〟な名探偵…。アガサ・クリスティの世界観を踏襲したこの作品。上巻から下巻に進むと、世界観がガラリと変わります。ストーリーはもちろん、巧みな翻訳も魅力。/SRの会
著/髙村薫 毎日新聞出版 1980円
ある若い女性の死で動き出した12年前の未解決事件。家族や友人たちは止まらない日常の中でふいに呼び起こされる遠い記憶とどう向き合うのか。精緻な心理描写とゆるやかな展開が妙に生々しく、推理小説と縁遠い方々にもぜひ手に取っていただきたい1冊です。/丸善 京都本店・森田佳美さん
著/有栖川有栖 講談社文庫 803円
ドラマ化されたシリーズの最初の物語。45もの密室トリックを発表してきた大御所作家は、自身の46番目のトリックで殺されたのか? 探偵役の火村とワトソン役のアリスの謎解きが始まります。2人の掛け合いがテンポよく、とても読みやすいです。推理をしてもワトソン役になっても楽しめます。/大垣書店 京都ヨドバシ店・辻中瑞保さん