ハロウィーンでにぎわう町。色鮮やかなカボチャがさまざまに飾られている様子をよく見かけますね。そこで、カボチャを大研究。名前の由来やおいしさの秘密といった豆知識から種まで食べられるレシピまで、各分野の専門家に聞きました。
あなたは、カボチャのことをどこまで知っていますか?
上の写真に写っているのは、ぜーんぶカボチャ。これらを育てたのは、綾部市に農場を持つ野菜ソムリエで、京都府が認定する「きょうと食いく先生」としても活躍する、「京都野菜耕房」の藤田正さんです。種類や歴史などカボチャのこと、いろいろと聞いてみました。
中央が「白い九重栗」、右上から時計回りに、「エアルーム」「バターナッツ」「蔵の匠」「小吉赤(こきちあか)」「鹿ケ谷」「ハロウィンパンプキン」です(藤田正さん)
今、日本カボチャと呼ばれているのが、16世紀中ごろ初めて日本に伝わったカボチャの種類。原産地はメキシコ南部から中央アメリカとされていますが、産出された「カンボジア」の国名がカボチャの名前になったとされています。
「関西ではカボチャのことを『南瓜(ナンキン)』と呼ぶことがありますが、これは輸入されるときの寄港地となっていた中国の南京(ナンキン)に由来するといわれています。また、中国からカンボジアを見た際に南にあることから、そういったという説も」
お店に並ぶたくさんのカボチャ。できれば一番おいしい物を選びたい…。見分け方などはあるのでしょうか。
「ヘタの部分である中央がへこんでいると、中のワタや種の部分は少なく可食部が多くなります。カットされている物は果肉の厚みがある物を選ぶと良いですね」
栽培時につるを伸ばして実を付けるカボチャ。株元から近いつるで育った実の方がしっかりとした味になるそう。見極めるためには皮にも注目を。
「果皮の縦筋に沿って、くぼみのあるカボチャがおすすめ。果皮の色が濃いことも熟している証拠です。表面がつるんとして厚みのない実は味が薄いかもしれませんが、スープなど料理の仕方によってはメインを邪魔しないような使い方ができると思いますよ」
現在、日本では大きく分けて3種類のカボチャが栽培されています。
「『鹿ケ谷』『菊南京』といった〝日本カボチャ〟、スーパーでよく見かける『黒皮栗』や『九重栗』などの〝西洋カボチャ〟、おもちゃカボチャとも呼ばれる飾り用の〝ぺポカボチャ〟の3種類です。日本カボチャはでんぷんが少なくあっさりとしているので、薄味付けの日本食にもぴったり。明治になって伝来した西洋カボチャは、ほくほく感が魅力。ぺポカボチャは苦味があるので主に観賞用ですね」
ちなみに、ズッキーニもぺポカボチャの一種だそうです。
「カボチャは3月中旬~4月中旬に種をまき、収穫は早い物だと7月中旬~8月上旬。ですが、食べごろは収穫してすぐではありません。収穫後、1週間~10日ほど納屋など風通しの良い涼しいところで追熟(ついじゅく)させることが大切。そうすることで、実に含まれるでんぷんが糖分に変わり、甘みの増したおいしいカボチャができあがります」
カボチャは夏に取れて、秋においしいということなのですね。
「店頭には出荷の時期を考えた最高の状態で売られているので、買ったらできるだけ早く食べてほしいですね。カットした物を置いておく場合は、ワタを取りラップをかけて冷蔵庫へ」
冬至にもカボチャを食べる風習がありますよね。
「産地や栽培方法を工夫して今は一年中カボチャが食べられます。血圧を下げる効果を求めたり、冬に不足しがちなビタミンを摂取するため、そうした風習が生まれたのかもしれませんね」
ハロウィーンといえば、カボチャを顔のようにくり抜いた〝ジャック・オー・ランタン〟をイメージする人も多いのでは。京都リビングカルチャー倶楽部カービングの講師・長谷川三紀子さんに、作り方とコツを教えてもらいました。
普段は、専用のカービングナイフで石けんや果物、野菜に花などを彫刻する長谷川さん。「南瓜」や西洋カボチャは特に皮が硬いので、小さな観賞用やカービング用のペポカボチャなどがおすすめ。刃物を使うので、軍手を使用したり注意を。中にろうそくを入れる場合は、上のふたを外して楽しんでください。
手や道具が入る大きさの穴を上部に空けて中身をお玉やスプーンなどで取り除きます。顔の部分の実を薄く削っておくと後でくり抜く作業が楽に
型紙を使ってカボチャの顔をデザイン。くり抜く部分をペンなどでなぞって書き入れます
デザインに沿って、細めのフルーツナイフなどでくり抜き、穴がよく見えるよう奥まで削って。ワタが残ると腐りやすくなるのできれいに取り除き、形を整えれば完成