学校で学んだはずの英語。「話せる!」と自信を持って言える人は少ないかもしれませんね。ですが、外国語でありながらも英語は日本語に影響を与えています。2020年に英語教育の改革が控える今、あらためて英語との関わり方を考えてみませんか。
テレビに出ている〝タレント〟、プラグを挿す〝コンセント〟といった、日本でもよく登場する英語。実はこの意味、英語圏の人には伝わらないのです。
「日本で浸透している意味と、本来の英語の意味が違います」とは、京都外国語大学教授の杉本義美さん。
「talent(タレント)の意味は『才能』。英語で芸能人を指すのはcelebrity(セレブリティー)です。consent(コンセント)は『同意』のことなので、outlet(アウトレット)と言えば通じます」
表のように、そのほかにも意味が伝わらないカタカナ英語はたくさん。
「こうしたカタカナ英語が生まれた理由ははっきりせず、自然と広まったと考えられます。違いは面白いですが、注意してください」
メリット | →advantage(アドバンテージ) |
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テレビゲーム | →video game(ビデオゲーム) |
リフォーム | →renovation(リノベーション) |
クレーム | →complaint(コンプレイント) |
日本語の中には、外来語に漢字を当てはめてできた単語も。立命館大学准教授の五十嵐優子さんは「外国から技術や知識とともに言葉ももたらされた明治期に、外来語をもとにした新たな日本語が作られました」と話します。
「automobile(オートモービル)は〝自動車〟と翻訳されました。autoの〝自ら〟、mobileの〝動くもの〟という意味を踏まえて考案された新しい単語です。〝電話〟や〝万年筆〟などもそうですね」
A、B、Cといったアルファベットのように音だけを表している表音文字とは違い、漢字は表意文字。一つ一つに意味があります。
「その特徴が生かされ、日本語の語彙(ごい)が増えていきました。〝個人〟〝科学〟といったそれまで日本にはなかった概念も、翻訳語が生まれたことで浸透したのです」
一方、最近は外来語をそのままカタカナで表す傾向が強いとか。聞き慣れないために、定着しないで消えていった外来語も多いとのことです。
「一緒にバレーボールをやろう!」。そう英語で言ったはずなのに相手に伝わらない…。原因は〝バレーボール〟の発音かもしれません。
「バレーボールは英語で発音すると『ヴァリィボール』です。そのほかコントロール、タオルなど、置き換えられない発音はたくさんあります」と五十嵐さん。
英語の音の数が日本語よりも多いことが、その理由だといいます。
「外来語は2通りの方法を経てカタカナで表記されています。一つはネーティブの人の発音を聞き、日本語に直す方法。そして、つづりをこう読むのだろうと推測して表記するやり方です」
そうして、英語と違う発音のカタカナ語が誕生したのですね。
「なお、アレルギーはドイツ語で、発音もカタカナと同じ。英語なら〝アラジー〟です。カタカナ語は全て英語だと思いがちですが、他の国の言語も日本語に影響を与えているのだと分かります」
京都外国語大学 外国語学部 英米語学科
教授 杉本義美さん
立命館大学 国際関係学部 国際関係学科
准教授 五十嵐優子さん