「石油などを燃やしてエネルギーを得る過程で排出されるCO2。増えすぎると地球の温度が上昇し、生き物が同じ場所で生きづらくなったり、異常気象で作物が不作になったりする可能性があります。CO2削減のための活動は、こうした影響を食い止めることにつながります」(京エコロジーセンター・竹内さん)
環境を考えるとき、避けて通れないのが地球温暖化の問題。主な原因はCO2の増加だといわれています。
「CO2には、地球が太陽からの光を熱として放射するときに、熱を吸収して大気を暖かく保つ〝温室効果〟という働きがあります。CO2が増えすぎると、大気が熱をためこんで地球の温度が上がってしまうのです」(京エコロジーセンター・竹内さん)
CO2削減に効果的なものの一つが、オープン型宅配ボックス。再配達の車から出るCO2の減少が見込めます。公共スペースなどにあり、誰でも宅配サービスの受け取り場所に指定可能。宇治市内には、スーパーや駅など計9カ所に、環境省と京都府、宇治市による実証事業のために設置されたオープン型宅配ボックスがあります。
「昨年9月から今年2月まで、環境省、宇治市と連携し、オープン型宅配ボックス設置後の効果を検証する実証事業を行いました」と、京都府地球温暖化対策課の廣田純一さん。
「インターネット通販の普及により宅配便の利用は増加。オープン型宅配ボックスを使う人が増えれば、不在による再配達率を下げることができます」(廣田さん)
今回の事業では、約328件の再配達(CO2約192kg)が減ったとの試算結果に。
「オープン型宅配ボックスは便利なうえ、環境にいいことにつながるサービス。より多くの人に知ってほしいですね」(廣田さん)
近くで見かけたら、積極的に活用してみて。
駐輪場に自転車を止めてサドル下の鍵を閉めた後、スマートフォンを手早く操作してから立ち去る人々。周囲には同じデザインの自転車がずらりと並びます。
こちらは、シェアサイクル「PiPPA(ピッパ)」の駐輪ポート。シェアサイクルを借りたり、返したりする場所です。
「専用の駐輪ポートが京都市内約90カ所にあります。スマートフォンのアプリで開錠や施錠、登録・清算などの手続きができるんです」と教えてくれたのは、オーシャンブルースマートの木間(このま)千恵さん。同社と京阪電気鉄道、京都市都市整備公社が連携し、運営しています。
料金は一時利用なら30分ごとに108円。
「利用者の約半数は地元住民。通勤・通学目的の人が多いですね」と木間さん。シェアサイクルが広まれば、自動車などからのCO2排出量の削減が期待できるといいます。
「移動の選択肢が増えることで、CO2や放置自転車の削減、バスの混雑軽減に少しでも貢献できれば」
「ウミガメやウミドリなどが海に浮かぶプラスチックごみを食べて、傷ついたり死んだりした例が数多く報告されています。〝マイクロプラスチック〟と呼ばれる5㎜以下の細かい粒子を魚が食べ、人間がその魚を口にした場合の影響も心配。プラスチックごみの量を減らせば、そうした被害が拡大するのを防げます。水筒を持ち歩く、マイバッグを利用するなど、できることから始めてみましょう」(京エコロジーセンター・竹内さん)
身の回りにあふれる、レジ袋やペットボトル、ストローといったプラスチック製品。
「プラスチックは分解されないので、海に流れ込むといつまでも存在し続け、深刻な環境汚染を引き起こします」(京エコロジーセンター・竹内さん)
飲食店の間で目立つのが、プラスチックストローの代わりに紙ストローを導入する動き。京都市内に3店舗を展開する「サー・トーマス・リプトン・ティーハウス」も、そんな店の一つです。
三条本店店長の安部亜加里さんによると、紙ストローを取り入れたのは昨年のこと。
「ストローのごみが減ったのを確認すると、自分たちも環境にいいことをしているのだと実感します」(安部さん)
来店者の中には、ごみを増やさないよう、ストローやおしぼりを使わない人もいるとか。店と客、それぞれの立場で環境のためにできることを考えていけるといいですね。
京都の町には修学旅行生がたくさん。旅行中にエコな行動をしてもらおうと、京都市ごみ減量推進課が進めているのが「京都エコ修学旅行」です。
参加校の生徒は〝歯ブラシの持参・使用〟〝エコバッグで買い物〟〝食事の食べきり〟という三つのアクションを実践するのがルール。「京都市のごみの量を減らすためには、観光分野も重要。修学旅行生の協力があれば、全国にごみ減量の必要性を発信できると思います」(同課・福井直樹さん)
さらに、食事の前に食べきれそうにないものを周りの人にあげるなど、学校ごとの独自のルールを〝エコ・アクション+1〟として推奨。優秀校が表彰されています。