仕事や家事、育児など慌ただしい毎日。いつも「疲れ」を感じている人は多いのでは? ひどくならないうちに、何とかしたいですよね。そこで、専門家に「疲れ」を感じる理由と回復方法について聞きました。
稲荷山武田病院 うつ予防医療センター・センター長。50歳を越えたころから、睡眠の大切さを再認識し、規則正しい生活を実践。「若いときは体力でカバーしていたが、年齢が上がると無理がきかないと実感しています」
夕方になると体がだるかったり、忘れっぽくなったり、やる気がでないなど、「疲れ」の感じ方はさまざま。肩こりや腰痛、目のかすみ、手足の冷え、食欲不振、胃痛など、体の不調として表れるケースもあります。
稲荷山武田病院うつ予防医療センター・センター長の森下茂さんによると「『疲れ』は、心身が回復のための休養を要している状態」と言います。
原因は、仕事や子育て、人間関係からくる〝精神的なストレス〟と、家事や運動などによる〝肉体的なストレス〟。日常生活と「疲れ」は切り離せない関係にあります。
「私たち人間は誰しも〝毎日〟疲れるのです。しかし、この『疲れ』は、適切な休養をとれば必ず回復します」
「『疲れ』には、自律神経が大きくかかわっています」と森下さん。
自律神経は、身体の器官や組織の調節を行い、常に身体の機能を一定に保つ働きがありますが、自分の意思でコントロールすることができません。
「精神的・肉体的なストレスによって身体にかかる負荷に合わせ、自律神経も働き続けます。ストレスが大きいほど自律神経への負担は重くなり、自律神経の中枢がある脳がダメージを受けた結果、オーバーヒートを起こしてしまいます」
そして、「脳を正常な状態に戻し、心身のパワーを回復させるため、休養が必要と判断した脳から、『疲れ』という形で自己防衛のためのサインが出されるというわけなのです」と森下さん。
となると、一般的にいわれる「疲れがたまる」というのはどういう状態なのでしょうか?
「特殊な物質が〝蓄積〟していくイメージを持たれているかもしれませんが、ちょっと違います。回復していない状態で活動することにより、脳はオーバーヒートしたまま。そして心身のパワーも不足したままなので、『疲れ』のサインが出っ放しに。そのため、常に『疲れ』を感じているということになります」
とはいっても「『疲れ』を感知しているということは、休養すれば、必ず回復するということですから、がっかりしないでください」と森下さん。
2面では、回復のための休養について紹介します。