写真家
顧剣亨(こ・けんりょう)さん
私は京都生まれの上海育ち。中学・高校時代は工学系の勉強をしていましたが、広告系の写真を学びたいと思い京都造形芸術大学に進学しました。ところが、入学して始まったのは、やなぎみわさんや椿昇さんといった現代美術家による授業だったんです。〝現代アート〟という言葉すら知らなかった私にとっては、毎日初めてのことばかりで、全てが新鮮。そうした体験や一流のアーティストとの出会いによって撮影する写真も変わり、今では現代アートを取り入れた作品を手掛けるようになりました。
「KG+ AWARD 2018」でグランプリを受賞した顧さんが新作を初公開。53時間弱にわたり、京都中を歩き続けて撮影した写真1万5972点が並びます。
美術家
金氏(かねうじ)徹平さん
彫刻などを専門にしているので、写真としっかり向き合うのはこのエキシビションが初めてです。写真は今ある風景を切り取るもの。特に京都の街を写すと、歴史と共存している姿が見えてくると思います。今回の作品を制作したのは、ビル地下の新聞印刷工場の跡地に気持ちを動かされたから。展示会場でもあり、撮影地でもある場所です。もう印刷機なども置かれていませんが、そこにいるだけで、かつてはたくさんの情報と多くの人が集まっていたことが伝わってきたのです。作品ではそのイメージを表現。写真の特徴を生かして、以前の姿と現在の姿を表しました。
印刷工場の跡地である、京都新聞ビルの地下。こちらと移転後の新工場で金氏さんが記録した、写真・音・映像を織り交ぜた新作が発表されます。
KG+SELECTディレクター
フィリップ・ベルゴンゾさん
京都はたくさんの〝VIBE〟、つまり心を動かしてくれる何かを感じられる場所。「KYOTOGRAPHIE」を通して知った人や作品にも、影響を受けています。良い、悪いではなく、何か感じるのです。ある時、作品を見て心が揺さぶられ、アーティストがどんな人かを知らないままフェスティバルへの協力を頼みました。本人に会い、自分の気持ちを信じて良かったと実感。素晴らしい展覧会を開くことができました。自分以外の人の思いに触れたときも、また新しい世界が見えてくるでしょう。
元・淳風小学校の各教室で、公募で選ばれた12人のアーティストの作品を展示。この中から「KG+AWARD 2019」のグランプリが決まります。
写真家
岡原功祐さん
東京からフランス、ドイツと移り住み、昨年4月から京都で暮らしています。京都に流れる時間のスピードは、フランスやドイツに似ているように感じますね。ゆったりとしていて居心地がいい。ご近所さんとの距離は近く、町の大きさが程よく思います。引っ越しのきっかけとなったのが、誰も住まずに残っていた妻の祖母の生家。古い家だったので、妻と協力してリノベーションしました。生活場所をつくるなんて初めてのことでしたが、新たな暮らしの場を自分で築き上げる楽しさを知りました。
1階では、岡原さんとローマ出身の写真家パオロ・ペレグリンさんの作品を、その場でプリント・展示する制作プロセスを公開。2階では2人の個展が開催されます。
日本および海外の重要作品や貴重な写真コレクションを、趣のある歴史的建造物やモダンな近現代建築の空間に展開。ときに、伝統工芸職人や最先端テクノロジーとのコラボレーションも実現するなど、京都ならではの特徴ある写真祭を目指しています。
第7回となる、2019年のテーマは「VIBE」。誰かに出会ったときや、ある出来事を経験したときに感じる、新たな世界へと導いてくれるような「VIBE」を呼び覚ますことを目的としているそう。4月13日(土)~5月12日(日)の期間中、京都市内の11カ所でさまざまな写真が展示されます。関連イベントなどもチェックを。