女性は50歳ごろから骨密度が低下するといわれているのを、知っていますか。年を重ねても元気で出掛けられるよう、あらためて骨のしくみを知り、骨を丈夫に保つために、まずは、毎日の食事からできることを専門家に教えてもらいました。
「骨はかたいので石のようなものだと思われがちですが、髪の毛や爪と同様にどんどん作りかえられています」と話すのは、「京滋骨を守る会」事務局長の田中清さん。
「作りかえ、修復され続けるからこそ強度が維持される」という骨は、体を維持するために重要な働きがあります。それは「骨が体内で〝カルシウム銀行〟のような役目を果たしている」ということ。
「私たちの体内にあるカルシウムのうち99%は骨に、1%が血液中に存在します。
血液中のカルシウムはその割合こそ大きくはありませんが、筋肉の収縮や神経の興奮を抑制するなど重要な働きをもっています。不足すると命に関わる事態にもつながるため、そうした場合には、私たちの体は骨を溶かしてカルシウムを補うという仕組みになっています」
1面では、骨を健康に保つために知っておきたいことを「Q&A」で紹介します。田中さんに答えてもらいました。
「全国の『骨を守る会』を取りまとめている『全国骨粗鬆症財団』の
ホームページ(http://www.jpof.or.jp/)も参考にしてください」
「女性ホルモンには、骨の形成を促したり、骨の吸収(古い骨を壊す)を抑えたりする働きがあります。閉経を迎えると、それまで骨を守っていた女性ホルモンの分泌が一気に減少するため、女性は50代から骨密度が急激に下がります。
平均寿命は延びていますが、一般的な女性の閉経年齢はほぼ変わりませんので、高齢化に伴って骨粗しょう症の女性が増加することは自然な流れだといえます。
男性ホルモンにも同様の働きはありますが、年齢による減り方は比較的ゆるやかなので、骨粗しょう症の発生率も男女で大きく差がでます(グラフ参照)。
ただ、男女とも若いうちは放っておいても大丈夫ということではありません。成長期や成人期に丈夫な骨づくりを心掛けておけば、骨密度が下がっても骨折リスクが高くなるゾーンに入るのを遅らせますし、もしものときのダメージも少なくなります」
「骨のつくりは鉄筋コンクリートのビルによく例えられます。鉄筋部分はコラーゲン(タンパク質)で、コンクリート部分がリン酸カルシウム。
ただし、この2つさえあればいいということではありません。石灰化といって、コラーゲンの枠組みにリン酸カルシウムをくっつけるには、ビタミンDが必要です。また、ビタミンKはカルシウムを骨に沈着させる働きがあります。
骨の健康に関わる栄養素は多く、〝バランスのよい食事〟が骨粗しょう症予防の基本です」
「骨を強くするためには、やはり食事で必要な栄養素をとることが大切。しかし、それ以外にも適度な運動が欠かせません。骨の表面についている筋肉が収縮し、骨膜という組織に振動が伝わることが〝骨を作れ〟という信号になります。ですから毎日、骨や筋肉に負荷を与えることが重要。
また、日光浴も効果的。紫外線を浴びると皮ふでビタミンDを生成できます。ビタミンDには、カルシウムの吸収率を高める働きがあるのです。顔の日焼けが気になる人は、手の甲などだけでもOK。1日10分ほどでかまわないので、日光に当たることをおすすめします」