骨の健康のために今日からできる「食事」の話

必要栄養素を日々の食事で楽しく取る方法

「これさえ食べていれば健康になるという食材はありません」とは、管理栄養士の中村智子さん。「基本は主食、主菜、副菜のそろったバランスのよい食事」だといいます。

「カルシウム補給のためといって、ちりめんじゃこやゴマを使い過ぎると塩分や脂質の取り過ぎになります。ひとつのものに頼りすぎずに、さまざまな食材から骨の健康に役立つ栄養素を取りましょう」

そこで、カルシウムが不足しているなと思ったときの食事づくりについてコツを聞きました。

「カレーを作るつもりだったのを、牛乳やチーズたっぷりのミルクシチューに、豚のショウガ焼きの予定を大豆製品を使ったマーボー豆腐に、といった具合に考えてください。もちろん、カレーやショウガ焼きが悪いわけではありません。食材についての正しい知識があれば、難しくなく日々の献立を考えることができると思いますよ」

女性は50代から、特に意識してカルシウムを

「50代からの女性に積極的に取ってほしい食材のひとつが大豆製品。大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た働きをし、骨粗しょう症の原因となる破骨細胞の過度な働きを抑えます」と中村さん。

缶詰なども上手に利用するといいそう。

「サバやイワシなど青魚を使った缶詰は、魚の下処理が要らず調理が苦手な人でも利用しやすい食材。保存もききます。牛乳はカルシウムを含む食材の中で吸収率が高いので毎日、取るのが望ましいのですが、買って帰るのが重い、おなかがゴロゴロする、飲み切れないとの声を聞きます。そんな場合はスキムミルクを活用してみては。保存性にも優れているので常備して飲み物やスープ、ハンバーグ、お好み焼きなどに加えても」

こんなふうに考えると、無理なく日々の食事のカルシウム量のアップをはかることができますね。下表を参考に他の栄養素も同じようにして、メニューに加えていきましょう。中村さんに簡単レシピを教えてもらいました。

教えてくれたのは

「京滋骨を守る会」
事務局、管理栄養士
中村智子さん

骨密度を高めるのにおすすめの食品(一例)

カルシウム(Ca):骨の材料となる
  • 牛乳・乳製品…牛乳、スキムミルク、ヨーグルト、チーズ
  • 小魚・海そう類…煮干し、ちりめんじゃこ、ワカメ
  • 大豆・大豆製品…厚揚げ、豆腐、納豆
  • 野菜類(特に青菜に多い)…コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、切り干し大根
  • 種実類…ゴマ、アーモンド
ビタミンD(VD):カルシウムの吸収率を高める
  • 魚…サバ、サンマ、サケ、イワシ
  • キノコ類…キクラゲ、干しシイタケ
ビタミンK(VK):カルシウムを骨に沈着させる
  • 納豆
  • 海そう類…ワカメ、ヒジキ
  • 緑色野菜…ブロッコリー、コマツナ、モロヘイヤ

ポイント食材 サバの缶詰(Ca、
VD)、コマツナ(Ca、VK)、マイタケ(VD)、卵(VD)

さば味付け缶と小松菜の簡単丼

材料(4人分)
  • サバの缶詰(味付け缶)……1個(190g)
  • コマツナ……1/3束(100g)
  • マイタケ……1パック(80g)
  • 白ネギ……1/3本(30g)
  • 溶き卵3個分
  • ごはん、オオバ(千切り)各適量
  • A(砂糖小さじ1.5、濃い口しょうゆ小さじ2、酒大さじ1)
  • B(片栗粉小さじ1.5、水大さじ1)
【作り方】
  • ①‌コマツナのくきは約1cmの長さにカット。葉は縦半分に切り、約2cmの長さでざく切りにする
  • ②マイタケは石づきを取り除き、ほぐす
  • ③白ネギは薄く斜め切りにする
  • ④フライパンにサバの缶詰の中身を全て入れ、身を一口大にほぐす。コマツナのくきと❸を加え、弱めの中火にかける
  • ⑤火が通ったらコマツナの葉、❷、Aを加え、沸騰したら火を止める。缶の中にBを入れて残った汁とよく混ぜ、フライパンに回し入れる
  • ⑥かきまぜながら弱火で加熱し、とろみが出たら溶き卵を入れる。フタをして卵が好みの固さになるまで蒸し煮にする
  • ⑦ごはんに乗せ、オオバを飾る

生サバをそのまま加工してある缶詰は、ビタミンDなどの栄養がたっぷり。骨も加圧によって、やわらかくなっていてカルシウムの補給に役立ちます。コマツナは、アクが少なく下ゆでせずに調理ができ便利です

ポイント食材 水煮大豆と干しエビ(Ca)、干しシイタケ(VD)

中華風五目豆

材料(作りやすい分量)
  • 水煮大豆……1袋(固形量155g)
  • 干しシイタケ……4枚
  • 干しエビ……10g
  • ニンジン……1/4本(40g)
  • サヤインゲン……5本(30g)
  • ピーナツ(食塩不使用)……30g
  • ゴマ油……小さじ1
  • A(干しシイタケと干しエビの戻し汁に水を適量足し100mlにしたもの)
  • B(コチュジャン小さじ1.5、砂糖・酒各大さじ1、濃い口しょうゆ大さじ1/2、みそ小さじ1/2)
【作り方】
  • ①水煮大豆はざるに上げ、水気を切る
  • ②干しシイタケ、干しエビは軽く洗い、それぞれかぶるくらいの水(分量外)に漬けて戻す(戻し汁は捨てずにAを作る)。干しシイタケは軸を取り、1cm角に切る
  • ③ニンジンは大豆と同じサイズに、サヤインゲンは約1cmにカット
  • ④中火にかけたフライパンでゴマ油を熱し、薄皮をむいたピ-ナツを炒める。表面に薄く焼き色がついたら、❶❷❸を入れてさらに炒める
  • ⑤野菜に軽く火が通ったらBをAで溶かしながら加え、かき混ぜながら、水気がなくなるまで煮る

常備菜として日常の食事に足せる一品です。一般的な煮豆に飽きた人などにも喜ばれます

ポイント食材 すりゴマとスキムミルクと牛乳(Ca)

黒ごまミルクぜんざい

材料(2人分)
  • 白玉粉……30g
  • 水……適量
  • すりゴマ(黒)……大さじ2
  • スキムミルク……大さじ1
  • ゆでアズキの缶詰……1缶(80g)
  • 牛乳……100ml
【作り方】
  • ①白玉粉を水で練り、ゆでて、だんご6個を作る
  • ②鍋にすりゴマ、スキムミルク、ゆでアズキの缶詰を入れる。混ぜながら牛乳を少しずつ加えてのばす
  • ③弱めの中火にかけ、一煮立ちさせる。❶を加え、全体が温まったら器に盛る

1日に必要なカルシウム700mg〜800mg(※)の約1/4の量がこれ一杯で取れます。ゴマの殻は固く消化されにくいので、栄養を効率よく取るなら、すりゴマや練りゴマがおすすめです
※「骨粗鬆症予防と治療ガイドライン2015年版」より

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