今週号と来週号は、2週続けて読者登場スペシャルです!今回のテーマは、〝思い出の品〟。これを見たらあのときの記憶がよみがえる、思い出とともにずっと大切にしておきたい、そんな〝宝物〟を見せてもらいました。
三輪恭子さん(42歳)
手帳の裏表紙に挟んだ、5cmほどのお守り。ボール紙に手書きで「合格祈願」と書かれています。
「8年前、看護師の国家試験を受ける当日に、夫がくれたものです。実は心の中では、『今年はあかんかもしれんけど、来年また受ければいいや』と思ってたんです(笑)。ですが、そのお守りをもらって、『絶対受からな!』と思いました」
お守り効果もあって、試験には無事合格。
「それ以来、毎年手帳を変えるたびに入れ直して持ち歩いています」
そこには、家族の応援なくしては看護師になれなかったこと、一生懸命に勉強をしたことを忘れないようにとの思いがあるそうです。
山本智子さん(49歳)
31年前の冬。ただただ緊張していたあの日。山本さんの手には共通一次試験の受験票が握られていました。
「後がない試験でした。親からは浪人はダメと言われ、私学も受けていなかったので必死でした」
共通一次試験後の二次試験を経て、晴れて大学入学。今、山本さんは夢だった教師として日々を過ごしています。
「共通一次試験と二次試験のときの受験票は、私にとってお守りのようなもの。仕事で壁にぶち当たったときなどに2枚の受験票を見ると、高校生だった自分から、『がむしゃらに勉強していた大変さに比べると、大したことじゃない。弱音をはかずに頑張れ』と言われているような気がするんです」
受験票は、なりたかった教師として生きていることの幸せも思い出させてくれるものだそう。
高橋善彦さん(73歳)
色紙の両面にびっしりと書かれたメッセージ。13年前、高橋善彦さんが60歳、定年を迎えたときに、若い人たちが中心となって開いてくれた送別会でもらったものです。
「58歳で役職定年になったとき、定年まで完走したいと、ある部署に移ることにしました。情熱と希望を持ってイキイキと働く若い人と出会えた、刺激的な職場でしたね」
一通り送別会が終わった後の、その送別会には、約70人が集まったそう。
「みんなが色紙を回して書いてくれたのだと思うと感激しました。最後まで全力投球をしたいと選んだこの部署だったからこそ、出会えた人たちです。メッセージを読むと、それぞれの人との思い出がよみがえります」
現在は2階の廊下の本棚に飾ってあるという色紙。
「前を通って目にすると、ついつい笑顔になるんです」
佐々木敬子さん(57歳)
「これなんです」。佐々木敬子さんが見せてくれたのは、年賀状の束。結婚3年後の1988年から作り出した家族の似顔絵入りのものです。この似顔絵、佐々木さんの手描きなんですよ。
「最初は夫婦だけでしたが、子どもが生まれて家族が増え、31年がたった今は孫も登場しています。年賀状は家族の歴史であり、足跡です」
そもそも、この似顔絵を描き始めたきっかけは何だったのでしょう。
「結婚2年目、年賀状に入れてほしいと、夫が自分の似顔絵を描いてきたんです。それを見ると…。これやったら私が描いたほうがうまいわと思って」
いつかはこの年賀状を並べて個展を開くのが夢と語る佐々木さん。そのときには、新たな家族の歴史が加わっているはずです。
上杉愛弓さん(37歳)
結婚前に、夫から初めてもらったプレゼントが上杉愛弓さんの思い出の品です。
「8年ほど前でした。『何が欲しい?』って聞かれてキーケースと言ったんですが、いざもらうとそこには当時一人暮らしだった彼の家の合鍵が。サプライズやプレゼントが苦手な人なので驚きました。うれしすぎて、今も使っています」
取材中、上杉さんの膝の上には1歳3カ月の息子が。いつか、夫婦2人のこの思い出を聞かせてあげるのでしょうか。
「女の子ならロマンチック!って思ってくれるかもしれませんが…。男の子なのでどうでしょう。興味を持ってくれるといいですね」
堀口史(ふみ)さん(43歳)
小さくてかわいらしいラディッシュのイヤリング。これは堀口史さんが10歳のときの夏に、家族旅行で行った蓼科で母親に買ってもらったもの。
「いろんな野菜や果物のイヤリングがある中で、『史ちゃんにはこれが似合うわ』って選んでくれました。うれしくて、もったいなくて、落としたらどうしようと思うと着けられず…。母からは『着けて出かけたらええのに』と言われていたんですが」
驚くことに、いまだに着けて出かけたことがないと言う堀口さん。こうなったら、それがいつになるのか聞かせてもらいたいです!
「ほんまにいつでしょう(笑)。ファンキーなおばあちゃんになったときに、派手な服に合わせて着けようかな」