MYさん(32歳)
Rちゃんがこの肌着を見たのは着れなくなってから初めてのこと。動物柄を見て「かわいい!」とRちゃん
生後すぐのRちゃん。「私自身も気に入っていたので、お客さんがくるときや外出するときなど特別な日にだけ着せていたんです」(Yさん)
「久々に手に取ったんですが、こんなに小さかったのかと驚きました」
そう話すMYさんの前には2着の肌着。3歳になった娘・Rちゃんが赤ちゃんのときに着ていたものです。
「買ったのは生まれる数カ月前。もうすぐなんだなと緊張しながら夫とお店に行ったことを覚えています」とYさん。
「かわいくて胸が高鳴りました。これを着せてあげられる日が来るんだとワクワクした気持ちになったんです」
この肌着をRちゃんが着たのは3カ月ほど。
「すぐに大きくなって着れなくなりました(笑)。ですが、これはいわば私たちからの最初のプレゼント。思い入れが強くて、手放せませんでした」
Rちゃんが大きくなったら、もう一度見せて、おなかの中にいたときのこと、赤ちゃんだったときのことを伝えるのを楽しみにしているそうですよ。
前田隼人さん(36歳)
「作ったものを残しておいてくれてうれしい」(右から2人目・輝汰さん)、「これからも作りたい」(左から2人目・自然さん)。良子さんが手にしているのは、小さいときに2人が描いた絵。「やっぱり捨てられませんよね」(良子さん)
前田隼人さん・良子(りょうこ)さん夫婦、そして輝汰(ひなた)さん(13歳)と自然(なつら)さん(10歳)が勢ぞろいで迎えてくれた取材当日。
「まだ、それほど多くはないんですが」と、隼人さんは片手に乗るほどの大きさの箱を開けてくれました。そこには、子どもたちが作った折り紙が。赤鬼と青鬼、ドレスにリュック。
「鬼は、輝汰がスマートフォンで折り方を検索して作ったんやんな」「亀は前に飼っていたから」と会話が飛び交います。中には〝親子共作〟のものもあるそう。
「休日、一緒に作っています。作りながら、学校での様子や好きな子の話を聞くこともあるんですよ」
親子の貴重なコミュニケーションの時間なんですね。「将来、改めて見るのが楽しみ」と残しておく理由を話してくれた隼人さん。一緒に過ごした時間も懐かしく思い出せそうです。
思いがこもったそれぞれの大切なモノを通して、皆さんの人生に触れたように感じた取材でした。思い出は、生きてきた証しかもしれませんね。