まちづくりや地域のための取り組みが活発に行われるなか、その活動を支える資金を地域で生み出そうという動きが注目されています。こういった考え方を〝お金の地産地消〟といいますが、インターネットが活用されることで、地域を超えての広がりも期待できます。そんな活動に取り組む人たちの思いとは。
「子育て世代が活用できるよう、山科中央公園を生まれ変わらせたい」「地域活性のために、阪急『西京極』駅前でイベントを開きたい」―。
これは、「公益財団法人京都地域創造基金」のホームページに掲載されているプロジェクトの一例。こういった活動をする団体への寄付の募集が行われています。活動の目的やお金の使い道のほか、目標金額と残り何日という募集期間も一目瞭然。誰でも、自分が関心のあるプロジェクトを寄付という形で支援できるのです。
「年間30ほどのプロジェクトへの寄付の募集を行っています」とは、同基金の専務理事で事務局長の可児(かに)卓馬さん。
「内容は、身近な地域の問題に目を向けたものがほとんど。十数万円、数百万円を目標金額とするものが多いですね。募集の期間は、数カ月であったり、何年も続けたりとさまざまです」
目標金額に達しない場合でも、期間が終了した時点で集まったお金は実施団体に渡されます。
「この基金は、地域の方の課題解決をサポートする〝募金箱〟のような存在。寄付の呼びかけをすることで、『今、地域ではこんなことが問題になっているんだ』と気付いていただけることもあります。お金を集めて解決ではなく、お金を集めるプロセスからも地域について考えるきっかけになれば」
朝8時。中京区にある高倉小学校の付近では、通学途中のたくさんの子どもたちの姿が目に入ります。よく見ると、黄色のベストを着用している子どもの姿がちらほらと。
これは、交通安全対策の一環で同校の2年生に配布されている「ピカベスト」。車の運転手からも見やすい、目立つ色合いが特徴です。
校長の岸田蘭子さんによると、「交通量の多い場所に学校があるため、子どもたちの安全のためにPTAが中心となり、地域ぐるみで検証し、昨年、本格的に導入したんです」。
その後、高倉小学校PTAと、同校で交通安全に関するワークショップを開催する「NPO法人京都子どもセンター」が主体となり「子どもと作る小学校安全学びプロジェクト」を発足。今後の購入のために同プロジェクトから京都地域創造基金に申請、今年3月まで目標額を掲げて寄付を募っています。寄付は、ベストのほかにワークショップに必要な材料費などにも充てられるそう。
同基金の村井琢哉さんは、「子どもたちがベストを着て、交通安全の意識をもって歩くことで、大人たちにもその意識が伝わってほしい」と話しています。