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食欲の秋、内臓疲労に注意して

実りの秋。おいしいものがそろうと増すのが食欲ですね。年末にはクリスマスパーティーや忘年会が続き、つい飲み過ぎたり食べ過ぎたりということも。すると、胃や腸などの内臓が疲れ気味になるかもしれません。ここでは、そんな状態を〝内臓疲労〟と名付けました。予防・対策法をチェックして、食事の時間を楽しみましょう。

適量以上の食事で胃腸に負担が アルコールの代謝は肝臓には〝余計な仕事

まずは、京都市立病院消化器内科・総合内科部長で医師の吉波尚美さんに、暴飲暴食が内臓に及ぼす影響について聞きました。

「疲れというのは主観的な感覚なので、医学的には内臓が疲れているかどうかを判断することは難しいんです。一般的な医療機関の外来では、内臓疲労と診断することはありません」。そう前置きした上で、吉波さんは続けます。

「ただ、適量以上の食べ物や脂っこい料理を食べると、胃腸に負担がかかるのは確か。そのため、食欲がわかない、胃がもたれるといった不調が起こりやすくなります。食べ物を消化・排せつしきれず、翌日までおなかが張って、体が重く感じるということもあるでしょう」

特に、飲酒による肝臓への影響には注意が必要だといいます。

「そもそもアルコールは、人間が生きていくのに必要な成分ではありません。摂取されたアルコールは、体が食べ物を消化吸収するために持っている酵素を使って、肝臓で代謝されます。つまり、飲酒自体が、肝臓に本来しなくてもいい余計な働きをさせることになるのです」と吉波さん。

多量の飲酒や持続的な飲酒は、確実に肝臓に負担をかけ、肝障害のリスクを高めるそう。

「肝障害は、進行すれば食欲低下や倦怠(けんたい)感などの症状が現れることもありますが、初期の段階では自覚症状がないケースがほとんど。飲酒習慣がある人は、定期的に健康診断などで肝機能検査を受けましょう」

胃腸の調子には、心の状態が影響していることも
教えてくれた人 吉波尚美さん 京都市立病院消化器内科・総合内科部長

吉波さんによると、胃腸の調子は、心の状態ともリンクしている面があり、ストレスがあるとおなかが痛くなったり、胃腸の調子が悪いと気分が落ち込んだりすることも少なくないそうです。

「例えば、検査では潰瘍やがんなどの病気が見つからないのに、消化器官に痛みや不調が起こる『機能性ディスペプシア』や『過敏性腸症候群』という病気があります。前者は胃痛や胃もたれ、後者は腹痛や下痢、便秘などの症状が続くのが特徴です。これらの病気には、食生活のほかに、精神的なストレス、睡眠不足、過労などさまざまな要因が関係していると考えられています」

消化に関わる内臓はデリケートなのですね。だからこそ、過度の負担をかけないよう気をつけたいものです。

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