食欲の秋、内臓疲労に注意して

内臓疲労予防・対策のヒント

内臓への負担が少ない食生活とは? 暴飲暴食でダメージを受けた胃腸を回復させるには? 管理栄養士、医師、健康運動指導士の3人に予防・対策の方法を聞きました。


宴会では塩分・油分控えめのメニューを。 最初の一皿はに野菜料理

宴会の席で、できる限り内臓に負担をかけずに食事を楽しむコツを教えてくれたのは、龍谷大学農学部准教授で管理栄養士の岩川裕美さんです。

「メニューが選べる場合は、塩分と油分が少ないメニューを選ぶのがポイントです」と岩川さん。

「具体的には、しょうゆやソース、ドレッシングはたくさん付けず、なるべく少量に。唐揚げ、フライドポテトなどの揚げ物は控えめにして、刺し身、焼き鳥など、調理に油を使っていない料理にしましょう。とはいえ、せっかくの楽しい席で食事量を控えるのは難しいので、夜に宴会のある日のランチは軽めにするなど、前後の食事で量を調整するといいのでは」

続けて、食欲を抑えるコツも教えてもらいました。

「最初の一皿は、旬の野菜やキノコ、海草類を使ったサラダやあえ物などがおすすめ。このような低カロリーのメニューで早めにおなかを満たしておくと、食べ過ぎを防げます」

さらに、お酒の飲み過ぎを防ぐアイデアも。

「汁物は締めのイメージがありますが、あえて前半で、ミニサイズのかけそばやうどんなどを食べておくのも一つの手です。血糖値が上がって満足感が得られますし、水分でおなかがいっぱいになるので、自然にお酒のおかわりの回数が少なくなりますよ」

不調のときは、糖質中心の軽めの食事で胃腸を休ませて

では、すでに飲み食いし過ぎて、内臓に負担をかけてしまったときはどうしたらいいのでしょうか。

「宴会の翌日など、朝起きて胃がスッキリしない、いつもより体が重いと感じるときは、食事を軽めにして胃腸を休ませるようにしましょう。胃腸にやさしく、消化吸収されやすいのは、ごはん、うどんなどの糖質。栄養素の代謝を助ける作用を持つビタミンを豊富に含む果物や野菜もぜひ取りたい食材です。例えば、朝は野菜ジュースだけ、昼はおにぎりとみそ汁というように、ごく簡単なメニューでいいと思いますよ」

内臓の回復具合を知る手がかりになるのが、体重なのだとか。

「食べ過ぎたという自覚があるときに体重を量ると、1キロほど増えていることが多いはず。塩分の取り過ぎで、体がむくんでいる可能性も。急に体重が増えていれば、内臓にも負担がかかっていると考えられます」

その場合は、3日間ほど、毎朝同じ時間に体重計に乗って計測するといいそうです。

「食事や塩分の量をコントロールしながら体重を元に戻していけば、内臓の調子も徐々に良くなるでしょう」

教えてくれた人 岩川裕美さん 龍谷大学農学部食品栄養学科 准教授、管理栄養士

よくかむことで負担を軽減 お酒に強い人こそ休肝日が必要です

前出の京都市立病院・吉波尚美さんからは、こんなアドバイスが。

「食べるときには、よくかむことを心がけて。かむことで食べ物が唾液と混ざり、細かく粉砕されるので、胃腸にかかる負担は減ります」

体が出しているサインに敏感になることも、不調の予防につながるとのこと。

「体は私たちが思っているより賢く、負担になるようなことはしたがらないものです。食欲がないとき、体が欲していないと感じたときには、無理に食べ過ぎないことも大切です」

肝障害の原因になるアルコールに関して気をつけることは?

「お酒の強さには個人差があり、アルコールを分解する酵素の量が多い人と少ない人がいることが知られています。後者のタイプでも、飲み続ければ酵素の働きが高まりますが、後者にはお酒を飲むとすぐ顔が赤くなる人が多く、自然に飲み過ぎにストップがかかる傾向があります。より心配なのは、いわゆるお酒に強い人。このタイプで毎日のようにお酒を飲む人や、肝機能検査で数値が高かった人は、週に2回程度、お酒を飲まない日をつくることをおすすめします」

ストレッチで内臓周りの血流をスムーズに!

内臓疲労の予防に

背中や腰を柔軟にし、姿勢を整え、血行を促進

①四つんばいになる
②自分のへそを見ながら、背中を丸める
③視線を斜め前に向け、胸を開くようにしてお尻を突き出す。腰を反らさないよう注意する
※②と③をゆっくり5回繰り返す
「疲れ気味かも」と感じたら

胃腸の周りの筋肉をほぐし、消化機能の改善を促します

①膝を立ててあおむけに寝る
②片脚を上げ、もう片方の膝に重ねる
③腰をひねり両脚を倒す。そのまま10〜20秒ほどリラックス
※左右2回ずつ行う
※息は止めず、深い呼吸に合わせて動作を行いましょう
藤井文香(あやか)さん 健康運動指導士、リビングカルチャー倶楽部講師

このページのトップへ