ふすまや壁紙などの室内装飾に用いられる、文様(柄)を施した唐紙(からかみ)。文様を彫った板木に絵の具をつけ、版画のように紙に写し取って作られます。江戸時代には広く普及していたというこの文化は、明治時代以降、衰退していったのだそう。
江戸時代から続く唐紙店「唐長」の唐紙師・トトアキヒコさんはこの現状に危機感を抱いていたといいますが、専門の彫り師がいないこともあり、新たな文様を生み出すことにちゅうちょしていたと話します。
ところが今年、板木の制作を委ねたいと思える職人と出会ったことから、新たな展開が。トトさんが中心となり、100種類の文様と版木を作る「平成の百文様プロジェクト」が立ち上がったのです。
「一般公募、企業やブランドなどとのコラボレーション、唐長の考案という三つの方法で文様を集め、100種を選定します。3~4年かけて板木を制作した後は、刷り上げた唐紙を京都市に寄贈。文化施設などで展示するほか、一部は街灯や地下鉄などのデザインに使う協議をしています。今を生きる人たちの祈りや願い、時代の空気を反映した文様を、後の世に残していきたいと考えています」(トトさん)
一般公募は12月31日(月)まで受け付け予定。募集要項などは、「雲母(きら)唐長」ホームページ(https://kirakaracho.jp/hyakumonyo/entry/)に掲載。
京都市南区東九条に小劇場をオープンさせようというプロジェクト「Theatre E9 Kyoto(シアター イーナイン キョウト)」。この企画を立ち上げたのは「一般社団法人アーツシード京都」。背景には、2015年から2017年にかけて、京都市内の小劇場5館が次々と閉鎖したことがありました。
代表理事のあごうさとしさんは、「アーティストが新しい試みにチャレンジする場として、低料金で利用できる小劇場の存在は欠かせません。このままでは、京都で才能ある現代舞台芸術のアーティストが育ちにくくなってしまう。そこで、2015年ごろから、舞台関係者数人で小劇場の創設を目指して動き始めたんです」と話します。
小劇場は、2019年夏ごろのオープン予定。不動産会社が長年、使っていた倉庫を改修して作られます。客席数は100席程度で、催しによって舞台や客席を自由にレイアウトすることが可能。主に演劇やコンテンポラリーダンスが上演されますが、映像やアート作品の上映・展示もできるそうです。
「地域で愛される劇場を作るため、夏祭りの開催を手伝ったり、子ども向けに映画づくりのワークショップを開いたりと、地域住民との交流も大切にしています」(あごうさん)