続いてパーソナルスタイリストのYorikoさんから、グレーヘアに似合う色についてアドバイスをもらいました。
「グレーヘアが映えておしゃれに見えるのは、ピンク、パープル、白といった明るいきれいな色。その色の中でも、グレー系のグレーヘアには青みがかった色み、シャンパンゴールド系のグレーヘアには黄みがかった色みを選ぶと、よりマッチします。とはいえ、肌の色にもよりますし、セオリーを気にしすぎる必要はありませんよ」。着てみたい色を着る、そんなチャレンジ精神を持つことで、おしゃれの幅も広がりそう。
「ただし、明るい色を取り入れる際には顔の近くにおくことをおすすめします。黒やグレーなどのダークな色のトップスを着るときは、首に明るい色のスカーフを巻くといいでしょう」
服の素材やデザインで〝きちんと感〟を演出
服の素材やデザイン選びにもポイントが。
「グレーヘアの人がスエット素材のパーカーのようなカジュアルな服を着ると、生活に疲れた印象に見えがち。ハリがあって高級感のある素材、上品なデザインの服を選んで、きちんとして見えるコーディネートを心がけましょう」
積極的に取り入れたいのが、アクセサリー。
「大ぶりのコットンパールやキラキラ輝くゴールドやシルバーのネックレスをつけると、顔も明るく見えるし、洗練された印象になりますよ。シャツにデニムといったカジュアルなコーディネートでも、アクセサリーを加えたり、スニーカーの代わりにバレエシューズを履いたりすることで、よりグレーヘアに似合う品のある雰囲気をつくれます」
「Salon Bellezza Yoriko(サロン ヴェレッツァ ヨリコ)」パーソナルスタイリスト
Yorikoさん
加齢とともに髪が細くなったり薄くなったりして、思うようにおしゃれを楽しめない人は、ウイッグでボリュームをプラスするのも一つの手かもしれません。ウイッグをつけることが気持ちに及ぼす影響、選び方などを参考にしてみて。
女性が装うことで得られる心理的な効用については、同志社大学心理学部教授の余語(よご)真夫さんに教えてもらいました。
「人が物事を認識・判断するときに、最も重要な役割を果たしているのが視覚です。そのため、化粧をしたり、アクセサリーをつけたりして外見を変化させることで、スイッチが切り替わるように気分が高まることが多いんです。外見に自信を持っていれば、人に会うときにもちゃんと目を見て、積極的に話すことができるので、行動も活発化していきます。髪が薄くなってきたことを気にしていた人がウイッグをつけて外見に自信を得た場合にも、同様に気分や行動が変化すると考えられます。周囲の人に、ウイッグをつけた姿を褒められることでも、自尊心が高まって前向きになれると思いますよ」
髪の毛の豊かさが、周囲の人に与える印象を左右するという指摘も。
「生物学的に見ても頭髪は活力の現れ。豊かな髪は、活力に満ちた若々しいイメージを起こさせます。逆に髪のボリュームがなくなると、元気がない印象に見られがちです。これからは長寿化社会。ウイッグや化粧のような装いの力で外見をより若く見せていくことは、健康長寿の一つのカギではないかと思っています」
同志社大学 心理学部教授
余語真夫さん
ウイッグにチャレンジするとなると知っておきたいのが選び方。
ウィッグアドバイザーの坂周則(ひろのり)さんによると「ウイッグには、主に、髪の分け目やつむじ部分をカバーする部分ウイッグと、頭をすっぽり覆うフルウイッグがあります。女性の場合、年齢とともに、分け目やトップ(頭頂部)から徐々に髪が薄くなってくる人が多いので、まずは、部分ウイッグから試すといいでしょう」とのこと。
自然に見せるポイントは、自分に合った色・サイズのウイッグを選ぶことだそう。
「ウイッグのボリュームが多すぎて不自然に見える場合もあるので、毛量のバランスも大切。専門店の中には、つける人に合わせて既製品のウイッグをカットして、毛の長さや量を微調整してくれる店もあります」
素材にも注目を。
「ナイロンなどの人工毛でつくられたウイッグはテカリが目立ちやすく、人毛だけのウイッグだとふんわり感が出にくいので、人工毛と人毛を適度なバランスでミックスしたウイッグがおすすめです」
ウイッグをつけたことがないと、「外れてしまいそう」と不安になりますが、「最近は、正しく装着すれば外れにくい造りになっている製品がほとんどです。つけ心地も軽いんですよ」(坂さん)
「ウィッグサロン野村かつら店」
ウィッグアドバイザー
坂周則さん
リビング読者の万木(ゆるぎ)郁代さん(67歳)が、坂さんがセレクトした部分ウイッグをつけてみました。