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この資格、この経験、あると長く働けるかも

定年退職をしても、まだまだ元気な人が多い昨今。豊かな老後を過ごすためにも、働き続ける人も珍しくありませんね。「長く仕事を」と考えている人は、将来を見据えて準備を始めておきませんか。専門家に聞いた現状やアドバイスとともに、シニアの体験談も紹介します。

働く高齢者が増えている要因・背景は?

教えてくれたのは
京都府元気シニア活躍協議会 事業統括員
中野勝仁さん

先生

「長寿化とともに、働く高齢者、働きたい高齢者は増加しています」と話すのは、「シニア人材バンク」を通じて高齢者の再就職や就労をサポートしている「京都府元気シニア活躍協議会」の中野勝仁さん。

「一番の要因として考えられるのは、家計の厳しさです。総務省の『家計調査報告』2017年版によると、働いていない高齢の夫婦2人世帯の平均収入は月20万9198円で、このほとんどは年金です。支出の平均は26万3717円。つまり毎月5万4519円の赤字になっています」

同協議会が実施した「高齢者の『就労』および『雇用・活用』に係る調査」(2017年)では、「65歳以降も働きたい理由は?」という問いに対し、「生活費をまかなうため、不足分を補うため」(29.1%)、「将来に備えて蓄えを増やすため」(7%)、「お小遣いがほしいから」(7.6%)といった経済的な理由を挙げた人が全体の43.7%を占めています。一方で、「生きがいのため」(36.1%)や「健康のため」(17.1%)に働きたいという人も少なくありません。

「厚生労働省は2016年に『生涯現役促進地域連携事業』をスタートさせています。労働力人口が急速に減少しつつある中で元気で意欲のある高齢者には、そのパワーを企業や社会で生かしてもらおうとさまざまな取り組みが進められています」

受け皿となる企業側の体勢も徐々に整いつつあるようです。

「人手不足が深刻化している中小企業のなかには、積極的に高齢者を活用する企業も出てきています」

読者アンケート

定年後も働きたいと思っている読者、働いている60歳以上の読者にも、その理由を聞きました。

働きたい理由
  • じっと家にいても退屈だし、楽しみがなさそうだから(UH・44歳)
  • 年金が少ないので、少しでも働いて、リタイア後に夫婦で旅行に行く足しにしたいから(MK・59歳)
  • 社会や人とのつながりを保っていた方がいつまでも元気に若々しくいられるように思います。会員制交流サイト(SNS)でもつながってはいられますが、やはり面と向かってコミュニケーションをとることが大事では(SK・51歳)
働いている理由
  • まだ元気だから働いていたい(HK・69歳)
  • やはり、経済的な余裕がほしい(HA・65歳)
  • 子どもがまだ学生で、就職するまでは費用がかかるので(KM・60歳)

活躍できる人材とは?

60歳以上になっても再就職、パートなど何らかの形で仕事を得て、長く働き続けるにはどんな準備が必要なのでしょう。高齢者の就労事情に詳しい専門家に教えてもらいました。

将来の方向性を見定めて準備を

まずは前出の「京都府元気シニア活躍協議会」の中野さんから、準備についてアドバイスが。

「50歳前後から、将来、どんな仕事や働き方をしたいのかという方向性を決めておくことが大切です。定年後に新しい分野にチャレンジしたい人は、その分野に関連した講演会やセミナーに参加したり、本を読んだりして情報や知識を蓄えておくといいでしょう」

会社員が資格取得やスキルアップのための勉強を始めるなら、「教育訓練給付制度」(※)を活用して教育訓練講座を受けるという方法もあるのだそう。



※一定の条件を満たす雇用保険の被保険者が、厚生労働省が指定する教育訓練講座を受講した場合に、経費の一部が給付金として支給される制度。英会話やパソコン教室から、専門的な資格取得を目標とするものまで、幅広い講座が指定されています

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