普段、何げなく食べている梅。体に良さそうなイメージはありますが、実際のところは? 食物栄養に詳しい同志社女子大学の杉浦実さんに聞いてみました。
教えてくれたのは
同志社女子大学 生活科学部
食物栄養科学科 食品機能学研究室
教授 薬学博士
杉浦実さん
〝梅〟と聞くと梅干しを連想する人は多いと思いますが、梅は分類上はフルーツなんです。
杉浦さんによると、「海外では〝ベッドフルーツ〟といって枕元にフルーツを置く習慣があります。また日本には〝朝の果物は金〟という言葉があります。これはいずれも、朝起きてすぐに果物を食べることをお勧めする表現だと思います。科学的に見ても、果物にはビタミン、カリウム、食物繊維が豊富に含まれているので、朝、体を目覚めさせるのにぴったりだと思います」とのこと。
朝、梅を口にしたい理由はもう一つ。〝酸味〟です。
「食物の酸味には主に、クエン酸、リンゴ酸、酒石(しゅせき)酸の3種類があります。梅の酸味はクエン酸によるもの。クエン酸の程よい酸味は、食欲を増進する働きも期待できます」。夏バテで食欲が出ないという日も積極的に取り入れてみましょう!
「梅がもつクエン酸の働きには〝キレート作用〟もあります。これは、鉄やマグネシウム、カルシウムなどを体内に吸収させやすくする作用のこと。実際に人でその効果を確認したという研究結果も報告されています」と杉浦さん。
つまり、クエン酸と一緒にカルシウムを多く含む食品を摂取するといいということ。ヨーグルトに梅シロップをかけたり、シロップづけの梅の実をクリームチーズと合わせたりと、いろいろな工夫ができそうですね。
「梅を牛乳やヨーグルトなどの乳製品と一緒に食べれば、カルシウム不足が原因となっておこる骨粗しょう症の予防にも役立ちます」。骨を健康に保つためには〝クエン酸とカルシウム〟がポイントですよ。
「梅に含まれる梅ポリフェノールには、抗酸化作用があると、和歌山県工業技術センターから報告されています」
抗酸化作用とは、活性酸素を抑える働きのこと。体内でエネルギーを作り出すとき、酸素が栄養素と結びつきますが、その過程で生じる活性酸素が細胞に損傷を与え、酸化させます。その酸化から細胞を守ってくれるのが梅ポリフェノールです。
「動物試験では、抗酸化作用のほかにも血圧降下作用が確認されています」とのこと。今後、梅ポリフェノールから、人間の健康に役立つ新しい働きが発見されるかもしれませんね。
青梅が手に入るこのチャンスに調味料作りにトライ!
2種類とも完成までに時間がかかる分、味わう楽しさが増しそうです。
※いずれも、青梅はエキスが出てしまっているので料理に合わせる際には使いません
※10日程度で食べられますが、長く置くとそれだけ梅の風味が増します。好みの風味になるまで保存してもOK。酢じょうゆのようにさっぱりしているので、焼き魚やあえ物にも合います
店内に足を踏み入れると目に飛び込んでくるのは、壁に飾られたいくつものボトル。味わいや風味が異なるさまざまな種類の梅とそのシロップが入っています。
4月にオープンした梅体験専門店「蝶矢」は、厳選した梅の実、砂糖、酒などを好みで組み合わせて、梅酒・梅シロップ作りを体験できるショップ。使用する梅は、収穫後に急速冷凍で香りと味を閉じ込めたものだそう。シロップは体験から1週間ほど、梅酒は1カ月ほどで味わえます。体験は1000円〜。梅ドリンクの販売もあり。
京都市中京区六角通堺町東入ル堀之上町108。午前11時〜午後7時
※問い合わせは、チョーヤ本社=TEL:072(956)0515=へ