食事をしたり、睡眠をとったり、家族でくつろいだり…。生活の場である住まいは、できる限り居心地よくしたいですね。では、居心地のいい住まいとはどんな空間で、どのようにしてつくればいいのでしょう。読者の声、専門家の意見やアドバイスを紹介します。今の住まいをレベルアップしたい人や、近い将来、引っ越しやリフォームを考えている人は参考にしてみて。
読者に「居心地のいい住まいにするために意識していること」を聞いたところ、最も多かったのが〝色〟にこだわっているという回答。
「白と木の色合いをベースに、多色使いはしないようにしている」(TM・46歳)、「自然な感じが好きなので、カーテンやソファはベージュ系でまとめている」(わたがし・40歳)というように、同系色でコーディネートしている人がほとんど。白やアイボリー、ベージュ、ベビーピンク、茶色など、主張しない、落ち着いた色が人気でした。
次に目立ったのが、スッキリとした空間をキープするよう心がけているという声です。具体的な工夫としては「床に物を置かない」(olive・47歳)、「背の低い家具を選び、数も必要最低限にしている」(ゆかりんゴスター・45歳)などです。
ほかに、「電球色などの暖色系が目にもやさしく、落ち着く」(タッキー・59歳)という照明に関する回答や、「リラックスできるよう、観葉植物を置いている」(AI・50歳)という回答も。
「居心地がいいのはこんな住まい」と意見を寄せてくれた人の声も紹介しましょう。
「一番大切なのは家事動線。そこを確保した上で、インテリアのデザインや色にこだわると、居心地のいい住まいになると思う」(フック・61歳)、「家族それぞれに〝座る〟定位置があり、長居できるのが、居心地のいい住まいだと思います。のんびり、だらだら過ごせる場所が必要」(こまぐろ・44歳)。
確かに、家事のしやすさも重要ですし、家族一人一人がゆったり過ごせるスペースも確保したいですよね。ただ、スペースには限りがあるのも事実。その限られた空間の中で、居心地のよさを生み出すためのヒントを2面で紹介します。
佐藤仁人さん
読者の声からも分かるように、居心地がいいと感じるポイントはそれぞれ。この違いについて、京都府立大学生命環境学部環境デザイン学科教授・佐藤仁人(まさと)さんに聞きました。
「居心地のよさという概念は多様な要素を含んでいて、人それぞれに異なるもの。住んでいる地域や国にも左右されます。日本の都市部に住む人たちに限っていえば、近年の研究調査では、世代にかかわらず、白や白に近い色を基調とした、外の景色が見える大きな窓がある空間が好まれる傾向が見られます。これらの条件は、空間を広く、明るく感じるという心理的な影響をもたらします。住まいの居心地のよさの決め手となる重要な要素は〝開放感〟や〝明るさ〟だといえるでしょう」