実際に住まいを居心地のいい空間にするにはどうしたらいいのでしょう。レイアウト、色使い、照明の3ジャンルに分けて、 それぞれの専門家にセオリーやポイントを教えてもらいました。
郷原美佐子さん
「部屋をレイアウトするときの基本は、歩くスペース、座る・寝るスペース、収納するスペースを確保すること」と話すのは、スペースデザインカレッジ インテリア担当講師の郷原美佐子さん。三つのうち、どれか一つでも欠けていると、暮らしにくく、居心地がよくないそうです。
「ありがちなのは、庭に面した大きな窓や通り道が家具で遮られているケース。家具を配置するときは、動線を考えてプランを立てて。リビングでは、テレビとソファの間を動線が横切らないよう注意しましょう」
通路はあっても、幅が狭くて通りにくいケースもよく見かけるとのこと。
「通路の幅は、基本的には60センチ以上必要です。ただし、通路の両側または片側が腰の高さより低い家具の場合は50センチ程度あればOK。まず最初に、家具を設置しようと思っているスペースの寸法を計って、それに合うサイズの家具を選ぶことが大切です」
こうしたレイアウトの基本を押さえた上で、「テレビやパソコンなどのコード類をまとめて、見えない場所にしまうとよりスッキリしますよ」と郷原さん。
「気をつけていても、すぐにリビングが子どもの物などでごちゃごちゃしてしまう」という読者・TMさん(46歳)の悩みに対しては、「収納スペースが足りていない可能性も。まずは物を収納する場所を決めて、全部が収まらない場合は、子ども部屋などの収納スペースを見直してみては」と提案してくれました。
「インテリアの色使いは、トーンを合わせるのがコツ」と教えてくれたのは、カラーセラピストの草木裕子さん。トーンとは、色の明度と彩度を同時に表した〝色調〟のこと。暗い色、柔らかい色、ビビッドな色といった色の印象を指すのだとか。
さらに、黒や茶などダークな色を床に近い空間の下の方に、白などの明るく淡い色を天井に近い上の方に配置すると落ち着いた、居心地のいい雰囲気になるといいます。
アンケートでは、インテリアをベージュ、ピンクなどの同系色でまとめている人が多かったのですが、同じ色同士だからといっても必ずしも合うわけではないのだとか。
「同じ色にも、黄みがかった温かみのある『イエローアンダートーン』と、青みがかったクールな『ブルーアンダートーン』があります。その両方が交ざっていると、統一感がなくなってしまいます。例えば、カーテンと同じ色みのラグを買いたいときは、家にあるハンカチなどをカーテンと合わせてみて、近い色みのものをお店に持って行くといいですよ」
草木裕子さん
同様に、木目の家具や壁紙も、黄みがかった色と青みがかった色では合わないことが。
「木目のものは一カ所に絞るか、複数使うなら同じ色みのものを使うようにしましょう」
柄物は使い方が難しいイメージもありますが、「実は初心者にはおすすめ。さまざまな色が使われた花柄などのカーテンを選んで、その中から1、2色を使って部屋をコーディネートするとうまくまとまります」。
インテリアコーディネーター、照明プランナーのばんばみーあさんによると、照明で居心地のよさをつくるポイントは、部屋の広さや用途に応じて、ペンダントライト(つり下げタイプ)、フロアスタンド、テーブルスタンドなど、3~5個の照明器具を分散させて使うことだそう。
「そうすることで室内に複数の光だまりが生まれ、奥行きや表情のある空間を演出できます。シーンごとに使い分けができるのもメリット。例えば、会話を楽しむときは光を囲むようにペンダントライトなどをともし、読書をするときはアームが動くフロアスタンドなどで手元を照らすといいでしょう。光が柔らかい間接照明や低い位置に置いた照明、キャンドルの炎の揺らぎも、心地いいリラックス感をもたらしてくれますよ」
ばんばみーあさん
照明の色については、「ベースとなる照明は、リラックスしやすい電球色がおすすめです。ただし細かな作業には昼白色の手元灯が適しています。また高齢になると視界が黄色がかって見えるようになるので、見づらいと感じる場合は昼白色に変えるといいですね」とのアドバイスが。
気をつけたいのが、子ども部屋の照明。
「昼間は昼白色がいいのですが、夜もそのままだと眠気が起こりにくい場合があります。子ども部屋にも複数の照明器具を用意して、寝る直前には電球色に切り替えられるようにしておきましょう」